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【震災関連死(下)】「心のケア」「生活支援」2氏に聞く

(右)早期のカウンセリングを勧める星野氏/(左)住民のつながりを取り戻す必要性を強調する鈴木氏

 東京電力福島第一原発事故に伴う警戒区域への一時帰宅中に浪江町の男性(62)が自殺したことを受け、避難者の心のケアや生活支援の在り方があらためて問われている。避難生活が長期化する中、福島学院大大学院教授で精神科医の星野仁彦氏(64)は、早期にうつ症状に気付き対応を取るよう呼び掛ける。地域福祉に詳しい福島大行政政策学類教授の鈴木典夫氏(51)は、住民同士のつながりを取り戻す必要性を強調した。

■福島学院大大学院教授 星野仁彦氏 早期のカウンセリング重要
 -避難者の精神状態をどう見る。
 「震災後、アルコール依存症やうつ病などの持病が悪化したり、発病したりして外来患者が増えている。原発事故による避難の長期化が被災者の心に暗い影を落としている。宮城や岩手とは状況が異なり、長期的な心のケアが必要だ」
 -自殺の要因は。
 「希望や生きがいを失い、絶望感や孤独感を抱くなどした上で他者と自分を否定し、責めるようになると、自殺の危険が高まる。家族や家、仕事を失い、将来を見通せない状況が続けば、誰でもそうなる可能性はある」
 -どのように防げばいいのか。
 「自殺は『孤立の病』とされる。周囲との絆を強め、孤立しないようにすることが大切だ。『気分が沈む』『涙もろくなる』『不眠が続く』『興味が湧かない』『全身がだるい』などのうつ症状に気付くことが鍵。早期に精神科医のカウンセリングを受けた方がいい。保健師や精神科医、民生委員らのチームで定期的に避難者世帯を戸別訪問することも早期に実施するべきだ」

■福島大行政政策学類教授鈴木典夫氏 住民間のつながり取り戻す
 -一時帰宅中に自殺した男性は民間借り上げ住宅に住んでいた。
 「住宅が集まっている仮設住宅と比べ、民間借り上げ住宅は各地に散らばっており、目が届きにくく、各戸訪問などの行政の支援が難しい。しかし、実際は住民数は借り上げ住宅の方が仮設住宅より圧倒的に多い。借り上げ住宅の住民支援を一層強化するべきだ」
 -借り上げ住宅の住民をどうサポートするのか。
 「行政だけでは限界があり、民間の力を生かすことを考えてほしい。行政が音頭を取り、借り上げ住宅がある地域の町内会が避難者を住民の一員として積極的に迎える環境づくりを進めてほしい」
 -ほとんどの仮設住宅で自治会が誕生している。借り上げ住宅ではどうか。
 「借り上げ住宅の住民同士の自治会は一部しかない。行政が住民情報を提供するなど、自治会発足にもっと協力するべきだ。避難者に住民間のつながりをもう1度持ってもらうことが重要。避難者の心労は蓄積され、自殺が増える恐れがあり、早急な対応が必要だ」

カテゴリー:3.11大震災・断面

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