東日本大震災アーカイブ

【屋外プール授業】安全確保 次々再開へ 独自に線量基準 除染で遅れる学校も

高圧洗浄機でプールサイドを除染する学校関係者=いわき・四倉中

 東京電力福島第一原発事故の影響で昨夏、屋外プールの授業を見送る市町村が相次いだ中、今夏は県内59市町村のうち47市町村が屋外での授業を実施する見通しとなった。福島民報社の調べで分かった。各地でプール開きが始まる6月に入り、各市町村はプール使用の目安となる放射線量を設定するなど安全対策に万全を期している。ただ、プールサイドの除染工事が間に合わず、7月以降にずれ込む学校もある。

■毎朝測定
 震災の影響で昨夏の屋外プール実施を見送ったのは37市町村で、このうち29市町村で屋外プール授業を再開する。
 いわき市の小中学校は高圧洗浄機による除染作業の真っ最中だ。同市の小中学校はプール使用日の毎朝、プールサイドの放射線量を測定する。環境省の除染基準である毎時0.23マイクロシーベルト以上の場合は除染が終わるまで高線量測定地点を立ち入り禁止にし、全体が高い場合は各校の判断でプール使用を中止にする。市の担当者は「不安を持つ保護者は少なくない。数字で示すことが必要」と説明する。

■自己負担も
 福島市は放射線量が比較的高い小中学校8校のプールサイドのコンクリートを剥がす工事を進めている。しかし、この工事が国の補助対象になるかどうかが決まらず、開始時期が5月中旬にずれ込んだため、7月上旬までプールを使用できない学校も出てくる見通しだ。現時点でも国の方針は固まっておらず、市の担当者は「ぎりぎりまで待ったが見切り発車。自己負担も考えている」と明かす。
 福島市と同様、プールサイドのコンクリートを削る除染を予定している伊達市の多くの学校は、交付金が決まらないためプール開きのめどが立っていない。いわき、相馬市などでは、地震の被害で自校のプールを使用できず、他のプールを利用する学校もある。

■保護者の声尊重
 西郷村は昨夏に続いて屋外プールの授業を中止し、白河市の屋内プールで実施する。「屋内実施を求める保護者が少なくなかった」と担当者は説明する。村が4月のPTA総会などで保護者の意見を聞いたところ、慎重な対応を求める声が半数近くに上ったという。
 郡山市はプールの除染を進める一方、独自に基準値を設けるなどし屋外授業を実施するかどうか検討している。しかし保護者の反対の多い学校があり方針は決まっていない。

■抵抗感
 保護者は屋外プール授業に複雑な目を向ける。「プールの水を飲んでしまったり、屋外で裸になることに抵抗がある」。福島市渡利の主婦(41)は放射性物質が心配で、子どもの飲み水はミネラルウオーターにしており「できれば屋内プールを使ってほしい」と話す。
 郡山市の主婦(36)は、心配はあるとしながらも「子どもがプールを楽しみにしている。今年は入れてあげたい」と望む。

■県放射線健康リスク管理アドバイザー 高村教授に聞く 全く問題ないレベル
 県教委は5月16日付で、授業への参加に際しては放射性物質に不安を抱く児童・生徒や保護者の意向を尊重するよう、各市町村教委に通知している。
 県放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇長崎大大学院教授に屋外プールの安全性などを聞いた。
 -屋外で裸で泳いでも被ばくの心配はないか。
 「基本的に現在の放射線量(毎時1マイクロシーベルト以下)であれば、数時間屋外で泳いでも全く問題はない」
 -プールの授業中に気を付けることは。
 「特にない。強いて言えば、授業の前にプール内の汚れをよく掃除しておけばよい。授業中、擦りむくなどのけがをしても、傷口を水で洗い流せば大丈夫だ」
 -プールの水を飲むこともあるが。
 「現在は県内の水道中に放射性セシウムを含む放射性物質は検出されていない。水道水でプールに水をためれば、放射性セシウムはほとんど含まれていないと考えられる。水を多少飲んでも特に問題はない」

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