東日本大震災

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双葉町民の心結ぶ 自転車代表 渡辺選手、郡山で壮行会

堀川さん(左)から千羽鶴を受ける渡辺選手

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により全国各地に避難している双葉町民の心が、五輪の力で強く結び付いた。自転車競技のロンドン五輪日本代表で同町出身の渡辺一成選手(28)=日本競輪選手会、小高工高卒=の壮行会が22日、郡山市で開かれた。「町民の心を一つにして応援する。頑張れ」。全国から集まった出席者は地元が生んだ五輪選手の活躍を祈り、希望を託した。渡辺選手は「震災や原発事故を風化させてはいけない。復興につながるようメダルを目指して頑張りたい」と誓った。
 会場に渡辺選手が入場すると、大きな拍手が湧き起こった。この日のため、県内の他、仙台市や東京都、埼玉、神奈川県など県外から約150人が激励に訪れた。「渡辺選手には、さまざまな形で分断されている町をまとめる輝きがある。町が一つになる原動力となってくれていることに感謝したい」。井戸川克隆町長は渡辺選手の努力をたたえ、五輪での活躍を期待した。
 「一成が頑張っているから避難先でも頑張れる」。会場に詰め掛けた出席者は笑顔で渡辺選手と握手を交わして感謝の言葉を述べ、記念写真を撮るなど交流した。町民らでつくる標葉せんだん太鼓のメンバーが迫力ある演奏で激励した。
 町役場機能がある埼玉県加須市の旧騎西高に避難している旧騎西高避難所自治会長の堀川光男さん(56)は必勝の願いを込めた千羽鶴を渡辺選手に手渡した。堀川さんが「勇気と希望をありがとう。『金』目指して突っ走ってください」と励ますと、渡辺選手は笑顔を見せた。千羽鶴は加須市に避難している町民有志約20人が6月初旬から製作した。町が住民に依頼すると、すぐに2000羽の折り鶴が集まったという。
 会場には渡辺選手の妻梓さん(27)、父善行さん(63)、母知子さん(59)らも駆け付けた。神奈川県大和市に避難している善行さんは「避難が続く状況の中、懐かしい顔に再会できた。うれしい」と述べ、壮行会を開いてくれた町などに感謝した。壮行会は福島民報社などが後援した。
 震災と原発事故により渡辺選手の競技に向き合う気持ちが変化した。実家は全壊、小学校で共に野球に明け暮れた友人が津波の犠牲になった。現在もつらい状況にありながら応援してくれる町民に触れ、渡辺選手は「たくさんのエールをもらって励みになった。北京は初めて出場する憧れの舞台だったが、今回はメダルを取る」と力を込めた。全国に散らばる町民の声援を背中に受け、渡辺選手はロンドンで世界と戦う。

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