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【霊山・月舘 避難勧奨から1年】解除見通せず 除染まだ3割 指定長期化 学校、地域に影響

平成24年度から初めて複式学級が導入された小国小。特定避難勧奨地点の影響は教育現場にも及ぶ

 東京電力福島第一原発事故で、局地的に放射線量の高い伊達市霊山町の小国、石田両地区と月舘町月舘地区の計104地点、113世帯が「特定避難勧奨地点」に初めて指定されてから1年を迎える。政府は避難の目安となる年間線量20ミリシーベルトを下回れば指定を解く方針だったが、市の除染作業は大幅に遅れ、解除の見通しは立っていない。避難の長期化に伴う児童、住民の減少で、学校やコミュニティーの維持を危惧する声も上がる。

■遠い目標
 伊達市は当初、特定避難勧奨地点を含む放射線量の比較的高い地域の除染を平成23年度内に終え、春先に指定解除を受ける目算だった。除染は10月下旬に始まったが、実際に除染できたのは、追加指定された13地点を含む117地点のうち、小国地区などの38地点と約3割にとどまる。前例のない作業のため、一戸当たり延べ2カ月以上かかるケースもあった。
 除染作業は今年2月ごろから中断したままだ。市は独自の除染計画、低減方法で作業を進めてきたが、国の法定計画への見直しに時間がかかった。仮置き場の確保も難しく、小国地区など一部では確保したが、住民の理解を得られず、設置が難航している。市は今夏に除染作業を再開するが、順調に進むかは不透明だ。
 「いつになれば除染が終わり、原発事故以前の生活に戻れるのか」。伊達市小国地区で勧奨地点に指定された団体職員の男性(50)はいら立ちを隠さない。
 男性宅の庭先は昨年6月時点で毎時2.8マイクロシーベルト。指定の目安となる毎時3.2マイクロシーベルト以下だったが、子どもがいるために指定を受け、家族で避難した。来年2月に除染の順番が回ってくる予定だが、「降雪時期だけに、予定通り進むとは思えない」とため息をつく。

■複式学級
 90世帯が勧奨地点の指定を受けた伊達市小国地区の小国小。避難などの影響で、児童数は昨年度から12人減の45人となり、初めて複式学級の編成を余儀なくされた。
 「2年と3年」「4年と5年」が複式学級を組む。それぞれ学習進度が異なる低・中・高学年をまたぐ「変則式」な編成のため、教師は授業の進め方に神経を使うという。学校関係者は「本当は同学年の児童同士で集団生活をさせてあげたい」と話す。
 小国小のPTA会長高橋裕一さん(42)は「数年後、地域の将来を背負う新入生の数は、どうなってしまうのか」と学校の将来を案じる。

■地域の分断
 「住民同士が地域の将来を語り合う機会が減った」。小国地区の男性(64)は様変わりした地域の現状を嘆く。
 地区内のある行政区では、住民の3分の2に当たる20世帯が勧奨地点に指定された。数世帯が家族全員で引っ越し、多くの世帯で子どもや若い夫婦が地区外に避難した。家にとどまるのは高齢者ばかりだ。人手不足などで昨年の夏祭りは中止に。旅行など子ども会行事もなくなった。今年も見通しは立っていない。
 10世帯が暮らしていた月舘町月舘の相葭(あいよし)集落。6世帯が指定を受け、3世帯は全員避難した。山あいで、もともと住民が少なかっただけに、住民の1人は「集落内の付き合いは減る一方。このままでは地域が成り立たなくなる」と危機感を募らせる。

【背景】
 政府の原子力災害現地対策本部は平成23年6月30日、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるとの試算結果が出た伊達市霊山町上小国の住居30地点、霊山町下小国の49地点、霊山町石田の19地点、月舘町月舘の6地点の計104地点、113世帯を特定避難勧奨地点に指定。その後、11月に伊達市霊山町下小国の4地点、霊山町石田の1地点、保原町富沢の8地点を追加指定した。県内ではこの他、南相馬市の142地点、川内村の1地点を指定した。このうち、伊達市では、指定を受けた128世帯のうち、93世帯が市内の他地域や県内外に避難している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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