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【霊山・月舘 避難勧奨から1年】難しい解除判断 賠償問題 不満根強く

 東京電力福島第一原発事故に伴う伊達市の特定避難勧奨地点をめぐり、政府は指定解除の時期、方法を決められずにいる。除染で住居単位の放射線量は低減しても、面的除染をしなければ地域全体の線量は下がらず、解除判断が難しいためだ。指定の有無による賠償の格差に対する住民の不満も根強い。

■点と面
 伊達市が除染した特定避難勧奨地点の庭先は、勧奨地点の指定の目安となる毎時3.2マイクロシーベルト(年間20ミリシーベルト)を大きく下回り、おおむね0.8マイクロシーベルト前後となった。しかし、政府の原子力災害現地対策本部は解除の見極めに苦慮している。
 住宅以外の生活空間に、線量の高いポイントが点在しているためだ。市が3月下旬に実施した小国地区の線量測定値の平均は毎時2.5~3.0マイクロシーベルトで、側溝などでは10マイクロシーベルトを超える場所もあった。上小国区民会長の菅野康男さん(75)は「通学路や畑なども含めた生活圏全体で低減しなければ安心して生活できない」と訴える。
 小国地区は山林に囲まれて生活圏が広がっている。樹木に付着した放射性物質が風雨や雪で住宅地に流れ込み、再び線量が上がると指摘する専門家もいる。
 対策本部の担当者は「住居という点でなく、地域全体を面的に捉えて指定解除を検討する必要がある。どの段階でゴーサインを出すのか、判断は極めて難しい」と頭を抱えている。

■格差
 伊達市は、原発事故に伴う県内23市町村の住民賠償の対象地域で、妊婦や18歳以下の子どもは40万円(自主避難した場合は60万円)、それ以外は8万円が東京電力から支払われる。
 特定避難勧奨地点に指定された世帯は、さらに1人当たり月額10万円の賠償を受けている。市の特例措置で診療費、国民年金保険料の減免もある。
 政府の現地対策本部は毎時3.2マイクロシーベルトを指定の基準値に設定。その上で、基準値を下回っても、線量の高い地点の付近に住む妊婦や小学生以下の子どもがいる世帯は勧奨地点の対象となった。
 だが、この基準設定が地域に波紋を広げている。わずかな線量の違いで賠償に差が生じる現状に住民からは不満の声が上がっている。住居単位ではなく、地域全体での指定を求める声は根強いが、現地対策本部は「計画的避難区域との差別化」を理由に認めない。
 ある集落では、毎時2.5マイクロシーベルト程度と同じ線量でも、小学生がいる世帯は指定を受けたが、高校生のいる世帯は対象外となった。高校生の家族は、月々の賠償がなければ避難生活は負担が大きいため、今もとどまり続けている。
 住民の1人は「住民の間に明らかに溝ができている。指定が長期化すれば、溝は深まるばかりだ」と懸念する。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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