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【復興作業の人員不足】国の支援的外れ 宿舎確保できず 宿泊費加算方針に不満

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復旧・復興事業に携わる作業員不足の問題で、県に宿舎整備対策を約束したはずの政府の方針が、事業の発注価格に宿泊費として1人当たり1日数1000円程度の加算にとどまることが25日までに分かった。宿泊費を加算されても、県内の民間宿泊施設は空き部屋が不足している状況に変わりはない。宿舎を整備するには財源が足りず、県と市町村、建設業界からは「現実的ではない」として国に責任ある対応を求める声が上がっている。

■空き部屋
 平野達男復興相は今月13日、佐藤雄平知事から宿舎確保の要望を受け、復旧工事や除染作業などの価格に作業員宿舎確保の費用を盛り込む考えを示した。ところが大臣の意向を受け、加算金額について検討を進めた国土交通省は、宿泊費分として発注価格に1日1人当たり数1000円程度を加算することで解決を図ろうとした。
 この国の方針に、県内から「的外れ」との不満が噴き出し始めた。「宿泊費を加算したところで、ホテルには空き部屋が限られている」(建設団体関係者)ためだ。

■除染遅れの懸念
 復旧や除染作業を迅速に進めるには、多くの人員を要する。道路工事では路面の舗装、側溝や縁石の補修など、1カ所の事業に数10人の作業員が必要となる。除染の場合、住宅1軒当たり10人程度が作業する。10軒を並行して進める場合は100人近くが1つの地域に集中する計算になる。
 南相馬市は作業員や介護・医療関係者らの宿泊施設の不足が深刻だ。市旅館ホテル組合の宇野正敏組合長(70)は「市内の宿泊施設は作業員やボランティアらで常に満室。年内はキャンセル待ちの状態が続く」とみている。
 市は6月定例市議会の一般会計補正予算案に、復興住宅施設建設促進事業補助金として1億円を計上。作業員の宿泊施設を新設する事業者に一室当たり50万円を上限に補助する。市商工労政課の担当者は「国は被災自治体に寄り添った柔軟な制度を考えるべき」と注文する。
 川俣町は今後、計画的避難区域に指定された山木屋地区など各地で除染作業が本格化する見通しだが、町内の民間宿泊施設は1カ所のみ。町原子力災害対策課の職員は「宿舎が不足するのは明らか。国や県の支援がなければ除染作業が滞る」と不安を募らせる。

■費用足りず
 国交省は入札価格に上乗せする宿泊費用を、作業員の宿舎整備に充当することも認める方針だ。ただ、県によると宿舎整備には一戸当たり100万円以上かかり、10人規模ならば1000万円以上の費用が必要となる。1日1人当たり数1000円の上乗せでは到底、賄えないとみる。
 県企画調整部の担当者は「復旧・復興を迅速に進めるため、国が作業員宿舎の用地確保と整備に全責任を持つべき」と訴えている。

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