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今を生きる 笑顔の未来 花に託して 移住直前に震災 克服し初の収穫

収穫を控えカスミソウを手入れする長谷川さん

■市川(千葉)から転入した昭和のカスミソウ農家 長谷川洋さん 40
 昭和村でカスミソウ農家を始めた長谷川洋さん(40)。間もなく、独り立ちして初めての収穫時期を迎える。東京電力福島第一原発事故の影響が懸念される中で昨年4月、千葉県市川市から村に家族と共に移り住んだ。1年間の研修を終え、今年から本格的に栽培をスタートさせての収穫だ。「花を通して笑顔を増やしたい」。新たな一歩に希望を膨らませる。
 会津若松市出身の長谷川さんは首都圏で家具の組み立ての仕事をしていた。東京都出身の妻の規予美さん(42)が田舎での生活に憧れていたことから、長谷川さんは母親の出身地である昭和村への移住を考えた。
 平成22年12月に長女の美桜ちゃん(1つ)が誕生したのをきっかけに、村の新規農業参入推進事業を活用してカスミソウ農家を目指すことを決意する。しかし、引っ越し目前に東日本大震災と原発事故が起きた。
 放射性物質による汚染の心配が広がり、生後間もない美桜ちゃんを連れての移住に、親族から反対の声が上がる。自らも迷ったが、村は放射線量が低いことを知り、家族そろって予定通り移り住んだ。
 他の2組の移住者と共にカスミソウ栽培の研修を受けた。自然に囲まれた生活、人々との温かな触れ合い。移住前の不安は消えた。今では「ストレスが多かった都会の生活に比べ、笑顔が増えた」と規予美さんと語り合っている。
 研修を終えた長谷川さんは今年から11棟のパイプハウスで栽培を行っている。苗は順調に育ち、7月上旬からは収穫が始まる。
 村のカスミソウは昨年、心配された風評被害もなく取引された。ただ、原発事故の影響からか、19年から村が毎年受け入れていた新たなカスミソウ農家希望者は今年はゼロだった。「自分たちが頑張ることで、次の新規就農者が来ることにつながれば」と、長谷川さんは思っている。

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