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今を生きる 帰れない仲間に勇気を 避難生活1年3カ月 画集を自費出版 会員の発表会計画

避難生活で描いた絵を画集にまとめた鶴田さん

■広野町在住・双葉郡美術協会長 鶴田松盛さん(77)
 6月に広野町折木の自宅に戻った双葉郡美術協会長の鶴田松盛さん(77)は約1年3カ月の避難生活の中で描いた作品を画集にまとめた。「双葉郡の帰れない仲間に勇気を持ってもらいたい」との思いを込め、50冊を自費出版した。厳しい生活の続く絵画仲間に配布した。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で息子が住む埼玉県のマンションに避難した。「どうしても絵が描きたい」。避難先で知人から物置小屋を借り、昨年4月上旬から活動を再開した。
 テレビからは日々変化する古里の状況が流れた。放射線の数値はどうなっていくのか、友人たちはどうしているだろうか、将来帰還できるだろうか...。「きょうは花、きょうは風景」。不安な気持ちを振り払うように毎日テーマを変えて絵筆を執った。
 福岡県出身の鶴田さんは約40年間「自分探し」のために油絵を描き続けてきた。絵には本当の自分の姿が反映されると考え、東京で会社員として働いていたころも、60歳で定年退職し広野町に移り住んでからも1週間に1枚のペースで描き続けた。それでもなかなか思い通りの絵は描けなかった。
 避難生活では多いときは1日1枚、2カ月で40枚を仕上げた。どの絵からも当時の自分の心境が浮かび上がる。避難前以上に自分の姿を映し出していた。画集には、その中でも自信のある28点を収めた。
 絵画仲間からは「避難前よりも明るい」と評判になっている。鶴田さんは「自分が暗い気持ちでいたことの裏返しかな」と考えている。つらかった避難生活も今は「自分を見詰め直す機会だった。貴重な絵を描くことができた」と前向きに捉え、新たな作品制作に情熱を注いでいる。
   ◇   ◇
 鶴田さんは双葉郡美術協会員の作品発表会を計画している。参加の問い合わせは鶴田さん 電話0240(27)3180へ。

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