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請求開始、めど立たず 東電の財物賠償 住民説明、事務作業が膨大

 東京電力の土地、家屋の財物賠償で、請求受け付け開始のめどが立たず、早くとも10月以降にずれ込む見通しであることが24日、分かった。対象が12市町村の最大6万4000件に上り、住民説明や支払額の算定など膨大な事務作業が生じるためだ。固定資産税台帳を閲覧できるのは所有者本人に限られるため、算定作業の難航も予想される。請求受け付けは避難区域再編が条件で、現時点で区域再編の見通しが立たない町村ではさらに遅れる恐れがある。
 東電は、請求書に固定資産税評価額と平均新築単価に基づき、独自に算定した賠償額をそれぞれ明記し、請求者に有利な方式を選んでもらう方針だ。
 算定には固定資産税評価額のデータが必要になる。しかし、地方税法では原則、土地・家屋の所有者しか閲覧できない。このため、東電は、迅速な賠償額の算定にはデータが不可欠として、所有者の同意がなくても閲覧できるよう政府と調整を始めた。
 現在、賠償を担当する資源エネルギー庁は総務省と特例措置を講じることも視野に協議している。エネ庁の担当者は「前例がなく結論がいつ出るか分からない」と現状を明かす。
 固定資産税評価額のデータが入手できたとしても、6万件を超す対象者の算定終了までには相当の時間が掛かる見込みだ。
 さらに、東電は行政区単位で住民説明会を開き、全て終了した後に、市町村単位で請求の受け付けを開始する方針。ただ、避難者が賠償基準を十分に理解できるよう、行政区単位のほか、市町村から要望があれば仮設住宅単位でも対応する考えで、説明会の終了時期は見通せない状況だ。
 東電は「なるべく早く受け付けたいが、現状ではいつからと明言できない」としている。現在の福島県担当は約1200人で、作業の状況をみながら体制強化も検討する。請求が始まれば、1カ月程度で支払いができるとみている。
 財物賠償の請求受け付けは避難区域再編が条件となっている。川俣町山木屋、双葉、浪江、葛尾の4町村は現時点で再編の見通しが立っていない。
 川俣町の古川道郎町長は「これまで財物賠償の基準が決まらなかったため、住民との話し合いが進まなかった。早期に住民説明会を開き、再編の道筋をつけたい」としている。
 東京電力は24日、福島第一原発事故の避難区域再編に伴う土地、家屋などの財物賠償基準を発表した。原発事故から1年4カ月余りを経てようやく賠償策が出そろった。福島市で会見した東電の新妻常正常務は「住民の立場に立って賠償を実施する」と語った。
 東電の賠償基準の要旨は【表】の通り。家屋の賠償は固定資産税評価額、県内の平均新築価格を基に算定し、より高い金額を適用する。避難者が同意しなければ不動産鑑定士が評価する。家財は家族構成に応じて支払う。
 また、精神的損害と就労不能損害、避難・帰宅費用を一括して支払う方式を導入し、9月をめどに請求を受け付ける。個人の建物の修復費用は31日から受け付ける。土地、建物の財物賠償の請求開始のめどが立っていないため、先行できるものから包括的に一定以上の賠償金を支払い、生活再建を支援する。

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