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【推進と悔恨のはざま4】当事者の評価に限界 立地地域から不満噴出

 東京電力の福島第一原発事故調査委員会(社内事故調)は6月20日、最終報告書を公表した。福島市内で記者会見した東電常務(当時)の山口博(61)は「想定していた高さを上回る津波の発生が原因」とする見解を説明した。
 元東電副社長で、日本原子力産業協会理事長の服部拓也(68)は「第三者からは自己弁護と受け止められるかもしれない。ただ、当事者が出す調査報告としては目いっぱいの内容だ」との見方を示した。

■前提に国の許可
 社内事故調は東電副社長(当時)の山崎雅男(63)を委員長とし、役員や幹部社員で構成した。昨年12月の中間報告から事故原因を「想定外の津波」との主張を続けた。最終報告書でも、その考え方は変わらなかった。
 「日本周辺で今回のように震源が広範囲に連動することは、わが国の、どの地震関連機関も考えていなかった」
 「まさに知見を超えた巨大地震・巨大津波」
 これに対し、原発事故で甚大な被害を受けた双葉郡内の町村長から不満が噴出した。
 「事故を起こした自覚がない」
 「落ち度がないような報告は理解できない」
 東電の最終報告書は、福島第一原発が国から設置許可を受けていることを「前提」に論理展開している-。服部は、こう分析している。「国が決めた安全性の条件を満たし、国に確認してもらっていたという考え方がベースとなっている」。国の制度や規制を踏まえて安全対策を講じてきた電力会社にとって、その対策をはるかに超える規模の災害への責任が、自らにあるとの論理展開は困難だ、というわけだ。「当事者による評価、分析の限界」だった。そこには、原発をめぐる国と電力会社の深く、長い関係が横たわる。

■緊張感
 国会の事故調査委員会(国会事故調)が7月5日に出した報告書は、経済産業省原子力安全・保安院など規制当局を電力会社の「虜(とりこ)」と表現した。
 東電で原子力部門に長く携わった服部は「技術的能力や情報量は(規制当局よりも)圧倒的に電力会社が勝っている。適度な緊張感を持った関係を築ける状況にはなかった」と顧みる。
 原発事故を教訓に新たに原子力の安全規制を担う原子力規制委員会、原子力規制庁が9月にも発足する。高い専門性を持った規制当局の体制をつくり、当局と電力会社が「互いに切磋琢磨(せっさたくま)する関係」(服部)が求められる。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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