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【推進と悔恨のはざま8】廃炉達成まで関わる 業界「技術の土台築く」

水素爆発した福島第一原発1号機。廃炉に必要な研究開発が課題だ=平成23年3月12日撮影、東京電力提供

 「福島の再生が成し遂げられなければ、日本の原子力の将来はない」。日本原子力産業協会理事長の服部拓也(68)は、原子力産業界として廃炉達成まで関わる考えを強調する。
 福島第一原発事故の原因について、東電の原発事故調査委員会(社内事故調)は「想定外の津波」とした。一方、国会の事故調査委員会(国会事故調)は地震の影響による「機器の損傷の可能性は否定できない」との見解を示す。
 事故の深刻度は、国際評価尺度(INES)の「レベル7」。史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じだ。チェルノブイリ原発は、1986年4月の事故発生から26年が経過したが、現在も核燃料の処理に苦慮している。

■最長40年
 福島第一原発1~4号機は廃炉に向けた作業を迫られる。政府・東電中長期対策会議が昨年12月に決めた廃炉への工程表は、施設解体終了までを最長40年とした。
 溶け落ちた燃料の取り出し、原子炉格納容器を水で満たす「冠水」などの難関が待ち受ける。世界初の技術開発が前提で、工程表通りに作業が進むかどうかは予断を許さない。
 服部は元東電副社長で、福島第一原発に3回、勤務した。「技術的な課題が山積し、廃炉の完了まで何10年かかるかは分からない。それに向けた土台を築くことが、自分に課された責務だ」と決意を語る。

■トップランナー
 国内の商業用原発は、福島第一原発1~4号機を除いて50基ある。このうち、老朽化を考慮する目安となる30年超の「高経年化炉」は3分の1に当たる17基ある。今後、各地の原発が老朽化する中、廃炉技術の確立は国や電力会社、原子力産業界にとって避けて通れない。
 「福島第一原発を確実に処理する過程で、周辺地域を廃炉技術のトップランナーに成長させたい」。服部は本県に原子炉解体に関する最先端の技術や知見を集積し、国内や世界の原発の廃炉に貢献する将来図を描く。福島第一原発の廃炉に向けた研究開発拠点を置き、国際プロジェクトで進める考え方だ。
 しかし、原発事故の影響で現在も県民約16万人が避難生活を続け、県や立地地域が廃炉に関連する新たな原子力産業を受け入れるかどうかは議論の対象にさえなっていない。服部は「復興に向けた議論で、県民がどう考えるかが最優先。ただ、事故を起こした原子炉は厳然として存在している現状では、1つの選択肢ではないか」と提言した。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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