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【推進と悔恨のはざま10】輸入製トラブル続く 迫られた国産技術開発

応力腐食割れに備え、交換された新しいシュラウド(原子炉内にあるステンレス鋼の隔壁)=東京電力福島第一原発、平成11年

 昭和46年3月に営業運転を開始した東京電力福島第一原発1号機は、トラブルが相次いだ。
 「完全に実証された原子炉(デモンストレーテド・リアクター)」。受注した米国のゼネラル・エレクトリック(GE)は、そう強調していたため、発注側の東電にとっては、予想だにしなかった事態だった。

■応力腐食割れ
 トラブルの中でも、東電などの国内の技術者を悩ませたのは、ステンレス鋼の配管などに亀裂が生じる「応力腐食割れ」と、燃料被覆管の損傷だった。
 特に応力腐食割れは、その後、長期間にわたって1号機をはじめとする県内外の原発で懸案となった。東電は、材料や溶接方法などの改善に加え、設備や部品の交換を迫られた。
 「GEは開発が終わったというが、『デモンストレーション・リアクター(実証中の原子炉)』ではないのか。このままでは国内の軽水炉が立ち行かなくなる」。東電を含む原発関係者の間に危機感が生まれた。
 産・学・官が協力し合い、日本独自に原子力関係の自主技術を研究・開発しようとする機運が高まった。
 通商産業省(現経済産業省)は「改良標準化プロジェクト」に取り掛かり、また、電力会社やメーカーなどは負担金を出し合い「電力共同研究」プロジェクトに乗り出した。
 42年に東電に入社した元常務の二見常夫(69)は、社内の高速増殖炉担当から軽水炉担当に移り、部下と研究に明け暮れた。応力腐食割れの起こらない材料や、壊れない燃料被覆管の開発に取り組んだ。

■欧州との差
 日本が応力腐食割れなどの難題に直面していたころ、同じく米国から原発を導入していた海外諸国は日本とは異なる動きを見せた。それは、各国の事情に合わせて、独自の技術改良を既に進めていたことだった。
 「西ドイツは巨額を費やして西ドイツ型軽水炉を開発した。フランスは米国のウェスチングハウス・エレクトリックからライセンスを買い取って独自技術を導入していた」。当時、欧州の実情を知った二見は日本との認識の差に衝撃を受けた。
 昨年3月の福島第一原発事故は、個別の技術改良にとどまらない課題を浮かび上がらせた。その根源は、1号機を米国から輸入したころの発電所の設備・機器の配置など、基本的な設計の考え方にさかのぼる。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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