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今を生きる 復興への思い一層強く 町民の苦悩実感の日々

浪江町臨時職員として働く吉田さん

■今春大学卒業後、浪江町臨時職員として奔走 吉田薫さん23
 自身の足元は心もとないが古里のために、古里で生きることにした。今春、東京の大学生活から戻り、本宮市の仮設住宅で浪江町から避難した両親と暮らす吉田薫さん(23)は、町臨時職員として被災者と接してきた経験から、本県の復興に正面から取り組みたいと強く思うようになった。本県教員や町職員を目指し、懸命の努力を続けている。
 吉田さんは浪江町で生まれ、浪江小、浪江中、双葉高を卒業。東京理科大に進学した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きた昨年3月は大学3年だった。苦しむ本県の姿を目の当たりにして「古里のために働きたい」と思うようになった。しかし、教職を目指して母校の浪江中で行うつもりだった教育実習は原発事故でできず、本県での就職は思うように進まなかった。卒業後、今年4月からは浪江町が役場を置く二本松市で町臨時職員として働き始めた。
 「行政は何をやってるんだ」。臨時職員として働き始めると町民から大声で怒鳴られる経験もあった。「みんなつらい思いをしている」と実感させられる日々が今も続く。
 今年5月、一時帰宅で浪江町の実家に震災後初めて入った。草が生い茂り、記憶にあった古里の姿とは一変していた。「現実の光景とは受け入れられず、映画を見ているような気持ちだった」と振り返る。
 被災者ではない自分には何の支援もない。暮らしを維持する厳しさも感じる。福島での生活は都会の東京に比べると不便なところばかりだ。「それでもここが好きなんだ」。吉田さんは笑顔で語った。

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