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【震災関連死】避難で疲労433人 原発事故で長期化 転居続きストレス増す

則夫さんの遺影を見詰める京子さん

 3月末現在で東日本大震災の「震災関連死」と認定された県内761人のうち、東京電力福島第一原発事故で長期化する避難生活のストレスや疲労が原因とみられるケースが433人で半数を超えることが22日までの復興庁の調査で分かった。岩手、宮城の被災2県と比べて突出して多く、原発事故が本県の被災者を心身ともに追い込んでいる実態が浮き彫りになった。避難生活に終わりが見えない中、震災関連死は増加を続けており、専門家は迅速で効果的な支援の必要性を訴えている。

■外出ためらう
 「原発事故による避難が長引かなければ、夫は助かったはず」。双葉町から福島市の仮設住宅に避難している井戸川京子さん(57)は、夫則夫さん=当時(66)=の遺影を見詰め、無念の表情を浮かべる。
 則夫さんは震災後、川俣町や福島市などの避難所を転々とした。昨年夏、8カ所目となる福島市飯坂町平野の仮設住宅に入った。入居者は同じ双葉町民だが顔見知りはおらず、則夫さんは訪問の呼び鈴に応じなかったり、外出をためらったりと部屋に閉じこもるようになった。
 避難先が次々と変わる中でストレスが原因とみられる頭痛や不眠の症状に悩まされるようになり、月に1度は病院で診察を受けた。今年3月、京子さんが台所で倒れている則夫さんを発見。則夫さんは救急車で運ばれ、意識が戻らないまま6月に亡くなった。医師の診断は「ストレスによる脳内出血」だった。
 京子さんはまだ震災関連死の申請をしていない。気持ちの整理を付け、年内にも双葉町に届け出るつもりだ。

■被災3県で最多
 復興庁がまとめた県内の震災関連死の分析では、避難所生活の長期化が要因になったケースが際立つ。
県内の震災関連死者761人のうち、避難生活による心身の疲労が要因とされたのは433人に上った。避難所などへの移動に伴う心身の疲労は380人。いずれも岩手、宮城両県を含めた被災3県の中で最も多く、復興庁は「原発事故による避難の影響が大きい」と指摘する。

■総移動600キロ
 原発事故による避難者の多くは避難先から避難先への移動が度重なり、肉体的にも精神的にも大きな負担を強いられている。
 福島市の借り上げ住宅で避難生活を送る浪江町の牛渡喜一郎さん(75)の母サクイさん=当時(99)=は昨年10月、移動が重なり体調を崩して亡くなった。
 サクイさんは原発事故で自宅から西郷村の宿泊施設へ避難した後、栃木県内の特別養護老人ホームに移った。最終的にいわき市のグループホームに落ち着いたが、原発事故からわずか1カ月余で総移動距離は600キロに及んだ。グループホームに入って以降、次第に元気がなくなり、昨年10月ごろから意識がほとんどないほど衰弱した。既に福島市の借り上げ住宅に転居していた喜一郎さん自身も高齢で、なかなか見舞いに行くことができなかったという。
 喜一郎さんは「原発事故後の長距離移動で食事も睡眠も満足にできず、高齢の母には相当な負担になったのでは...」と声を落とした。

【背景】
 津波による水死や建物倒壊による圧死など震災の直接的な原因ではなく、避難生活の疲労や精神的ショック、持病の悪化などで体調を崩して亡くなった被災者を遺族の申請に基づき市町村が「震災関連死」として認定する。全国では一都9県計1632人で、原発事故の影響が大きい本県が最多となっている。県内は南相馬市の282人を最高に浜通りの市町村が全体の9割以上を占める。県避難者支援課によると、県内の震災関連死は増え続け、今月10日現在で1037人に上る。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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