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【大熊の中間貯蔵施設候補地調査】町議会「容認」に波紋 町民「建設は別の問題」 議会「国まず現場見て」

中間貯蔵施設について説明を求めた大熊町議会の全員協議会=23日、会津若松市

 東京電力福島第一原発事故に伴う汚染廃棄物の中間貯蔵施設の現地調査を大熊町議会が「容認」したことで、町には24日、町民からの問い合わせが相次いだ。町の担当者は「地域の同意なく勝手に調査を認める趣旨ではない」などと説明。町民からは「建設は別問題」「調査は仕方ない」との声が上がった。町議会関係者は「環境省の説明がお粗末で、青写真すら見えない。現場を見て説明を」と訴えた。

■やむなしの声
 「われわれへの説明がないのに、勝手に受け入れたのか」「そもそも議会に受け入れを決める権限などあるのか」。24日、会津若松市の町役場出張所には問い合わせの電話が相次いだ。応対した町担当者は「地権者の同意なしに調査が始まることはなく、国と協議をしているのは、あくまでも県と双葉郡8町村」と、議会が勝手に調査を許可した意味ではないと理解を求めた。
 国会事故調の委員として多くの国会議員や省庁関係者らと接した蜂須賀礼子大熊町商工会長は、議会の「容認」について「理解できる部分もある」と同情する。国会議員らの中には町内に足を運んだこともなく、現場の現状や被災者の立場に対する理解があまりに低い人が少なくなかったと振り返る。「現場を勉強してもらい、町民の気持ちに思いを巡らせてほしい。議論はそこから」と話す。
 仲野孝男町行政区長会長は「複数の候補地が示された行政区もあり、調査開始の是非はついては一概には言えない」とした上で、「中間貯蔵施設の重要性は認識している。設置の是非や設置場所の議論は別だが、調査することも駄目では先に進まない」と理解を示した。
 いわき市の仮設住宅に住む無職男性(81)は「長期にわたり戻れない現状を考えれば、調査は仕方ないが、建設となると話は別。避難している町民の意見をしっかりと聞いて」と求めた。同市の70歳代の無職女性は「放射性物質の受け入れ先が他県にあるとは思えず、結局は本県で受け入れることになるだろう。だとしたら、手厚い補償がなければ納得できない」と話した。

■議論にならない
 町役場出張所で23日に開かれた町議会の全員協議会では、中間貯蔵施設への理解を深めておきたいと、環境省の担当者を招いて説明を求めた。施設概要や検討の進捗(ちょく)状況、地図に楕円(だえん)で示された9つの地点が意味することなど、各議員にはさまざまな疑問があった。
 説明の様子は非公開だったが、出席者によると、環境省の担当者から満足できる回答はほとんど得られなかった。調査候補地についても根拠としたのは地図と航空写真、地質データのみで、現地を訪れたこともないと説明されたという。
 ある議員は「町内に設置を求めるなら、それなりの青写真が必要で、それを用意するためには事前に調査が必要なはずだが、これでは議論にならない」と振り返った。

■双葉、楢葉も注目
 中間貯蔵施設の候補地を抱える大熊町以外の双葉、楢葉の両町民も大熊町議会の現地調査「容認」に注目した。
 「原発を誘致し、立地した責任がある」。双葉町から避難し、郡山市の借り上げ住宅で生活する高田秀文さん(52)は、中間貯蔵施設設置の現地調査を含め、設置に関する議論を進めるべきとの考えを持っている。「町民1人1人の意見を聞いても、さまざまな考えがあって、まとめるのは難しい。最後は町が決断するしかない」と言い切った。
 いわき市の仮設住宅に避難している楢葉町の主婦(50)は「なし崩し的に設置まで決定されてしまっては困る。町民の声をじっくり聞いてから判断してほしい」と求めた。
 除染を進めるため、中間貯蔵施設が必要なことは分かっている。ただ、自分の町にとなると、納得できない気持ちもあるという。

【背景】
 19日に福島市で開かれた政府、県、双葉郡8町村の意見交換会で、政府は中間貯蔵施設の調査候補地として大熊町9カ所、双葉町2カ所、楢葉町1カ所の計12カ所を提示した。今後は県、8町村が実務者レベルで検討した上で、首長レベルの会合を開いて最終的な対応を決めるとみられる。国は調査に当たって地元の意向を尊重する意向を示している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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