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今を生きる 福島っ子と野球で絆 「来年も参加したい」

チームメイトと絆を強めるタイラ君(前列中央)

■米国から母親の実家に里帰り タイラ・ウォン君 10
 「福島の小学生と一緒に野球ができてうれしい」。米国・ニュージャージー州に住むタイラ・ウォン君(10)は目を輝かせた。8月から福島市の少年野球チーム「ふくしまBSスポーツ少年団」の練習に参加し、チームメートと力いっぱい白球を追い掛けている。
 タイラ君の母ケイ(桂)さん(44)は福島市出身。平成11年に市内の医療機器の生産工場でエンジニアを務めていた夫のブライアンさん(49)と結婚。本社のあるニュージャージー州に渡り、タイラ君が誕生した。
 毎年、家族でケイさんの実家に里帰りをしていたが、昨年は東日本大震災の影響で訪れることを断念せざるを得なかった。家族にとって大切な古里であり、海の向こうから常に心配し続けていた。
 7月下旬に2年ぶりに里帰りしたケイさんは、大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で厳しい環境に置かれながらも、BSスポ少の子どもたちが元気に野球に取り組んでいることをチームのホームページを見て知った。タイラ君も幼稚園のころから地元の野球チームに参加しており、「日本の野球を体験し、福島の子どもたちと交流させたい」と考えた。
 ケイさんは、すぐにBSスポ少の武井正伍事務局長(42)にメールで打診したところ「ぜひ、参加してほしい」と歓迎の返事。今月1日の初練習から毎週水曜日と週末の練習に参加し、キャッチボールや守備の連係など基本練習の他、紅白戦などにも出場している。
 ケイさんによると、ゲームを楽しみながら技術を習得する米国式とは違い、日本の野球には練習に厳しさがある。そんな違いにタイラ君はやりがいを感じているようだという。チームには南相馬市や浪江町、飯舘村から避難している選手も所属しており、グラウンドでは大きな声で互いを鼓舞しながらプレーに取り組んでいる。タイラ君は9月1日に新学期に向けて帰国の途に就くが、チームメートとの絆を感じ、「来年も参加したい」と話している。

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