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最悪の原発事故 「全員退避」の発言 官邸と食い違い 謎残る 東電テレビ会議映像公開

■3月14日 午後7時20分
【危機的状況】
 東電は原発事故直後、「全員撤退」を考えていたのか。政府、国会の両事故調の検証過程で議論となった「退避」をめぐるやり取りは、2号機が危機的状況に陥った14日午後7時20分すぎの映像に収録されている。

 本店の武藤副社長と福島第一原発の社員が、2号機の燃料棒が露出したとの認識で一致する。メルトダウンにつながる最悪のシナリオが目前に迫ってきた。

 第一原発の社員は「国や関係者に情報を伝えておいたほうがいい」と指摘。オフサイトセンターにいた小森常務が訴える。「情報を伝えておくのは当然の話。退避基準というようなことを誰かと考えておかないといけない。発電所のほうも中操(中央制御室)に居続けることができるかどうか、どっかで判断しないとすごいことになる。退避基準の検討を進めてくださいよ」
 武藤副社長は「分かった。その前に(水位が下がって燃料棒が)裸になった時間の認識をそろえようよ。18時22分。いいね。(炉心露出から)2時間でメルト(ダウン)、2時間でRPV(原子炉圧力容器)損傷の可能性あり。いいですね」。福島第一原発の吉田所長は「はい」とだけ答えた。

 本店の高橋フェローは「今の状況を国、県のみんなに言わなきゃいけないよね。早くスケジュール作って、投げなきゃいけないよ」と求める。「デッドタイム何時だ。何時に設定する?」との声が本店で響く。本店社員が炉心溶融の1時間半前から退避準備、1時間前に退避するスケジュールを説明した。

 午後7時55分ごろには、高橋フェローが「これ、避難退避は何時になってるんだろうな。作れっていったんだけど。武藤さん、これ、全員のサイトからの退避というのは何時ごろになるんですかね」と武藤副社長らに投げ掛けた。全員撤退を検討していたとも受け取れる場面だ。

 一方で、清水社長は吉田所長に訴えている。「現時点でまだ最終避難を決定している訳ではないということをまず、確認してください。それで、今しかるべきところと確認作業を進めております。現時点の状況はそういう認識でよろしくお願いします。プラントの状況を判断、確認しながら決めますので」
    ◇   ◇
 国会事故調は社内テレビ会議の録画を分析した結果、東電に全員撤退計画はなく、清水社長の説明によって誤解が生じたと結論付けた。

 政府事故調も同じ録画を検証し、「全員撤退は考えていなかった」とする東電の主張を認めた。しかし、原発事故直後、首相官邸にいた政治家らが清水社長から電話で「全員撤退」の意向を伝えられたと主張している問題については、官邸と東電の食い違いを「十分解明するに至らなかった」としており、謎は残ったままだ。

カテゴリー:3.11大震災・検証

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