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県内地価下落率地域で差 いわき、相馬は住居移転で需要増

住宅の新築ラッシュで区画が完売状態のいわきニュータウン=19日、いわき市中央台

 福島県は19日、県内の今年7月1日時点の地価調査結果を発表した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う住居移転で住宅地の需要が高くなった、いわき市などで基準地価格(地価)の昨年と比べた下落率が県内平均を下回った。一方、放射線量の比較的高い福島、伊達両市などの住宅地、風評被害で打撃を受けた北塩原村の商業地などは下落率が平均を上回り、地域によって差が出た。地価の動きを示す全用途の平均変動率はマイナス3.5%で、原発事故などの影響で過去最大の下落率となった昨年の6.0%から2.5ポイント縮小した。地価は20年連続で下がった。
 住宅地、宅地見込み地、商業地、準工業地、工業地、市街化調整区域内宅地を合わせた 今回の下落率3.5%は一昨年と同じだった。
 住宅地の県全体の平均変動率はマイナス3.2%だが、いわき市の下落率は3.0%、相馬、南相馬両市とも2.6%と全体の平均より下回った。県は、津波被災地からの移転者と原発事故の避難区域からの避難者らが宅地を求め、結果として土地の需要が高まったためとみている。郡山市では昨年、地価が大きく下落したことから土地の値ごろ感が増した。中心部で需要が増えたほか、市内東部の一地点で地価が上昇した影響もあり下落率は2.6%にとどまった。
 一方、県北地方の住宅地は福島市の下落率が3.9%、伊達市は4.5%と県平均を上回った。県内の他の地域より放射線量が比較的高いことが影響しているとみられる。猪苗代町は別荘地の需要減が響き県内最大の4.7%。会津若松市は3.8%で、いずれも原発事故による観光業への風評被害が背景にあると県は分析している。
 商業地の県全体の平均変動率はマイナス4.5%。下落率は郡山市で3.4%、いわき市で4.2%と県平均を下回った。両市とも復興業務に携わる作業員が滞在し、県は市街地の商業施設や飲食店で売り上げが伸びていることが影響しているとみている。一方、住民の市郊外での消費傾向が続く福島市は4.8%、伊達市は4.6%、本宮市は5.7%と平均より高い下落率となった。
 観光地も高い下落率を示し、裏磐梯地域や温泉などの観光産業が風評被害を受けた北塩原村は県内最大の9.2%、地震で多数の商店が損壊した矢吹町は8.4%だった。
 県地価調査代表幹事を務める鈴木禎夫氏は「県全域で一様に大きな下落率を示した昨年に比べ、復興需要や放射線量の高低、風評被害の程度などによって地域差が顕著となった」とした上で、「今後、仮の町構想や復興の加速などで地価が上がる材料はあるが、原発事故による人口減少で経済活動は縮小しており、下落傾向は続くだろう」と指摘する。
 県土地・水調整課は「一昨年と同じ下落率となったが、長期下落傾向の延長線上にあることに変わりはない」と説明している。
 地価調査は例年、59市町村の533地点を対象としているが、今回は52市町村の502地点を基準地に設定した。
 調査準備に入る今年4月時点で「警戒」「計画的避難」の両区域にある9市町村の31地点を対象外としたためで、「旧緊急時避難準備区域」の4市町村19地点では2年ぶりに実施した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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