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今を生きる お年寄りに歌声戻った 師の寄贈受け活動再開 楽器壊れたけれど...

昭和ホームで音楽療法を行う星さん(右)と呉竹さん

■昭和の音楽療法士星明正さん 56
 昭和村の特別養護老人ホーム「昭和ホーム」で、同村の音楽療法士、星明正さん(56)がマイクをお年寄りに向け、一緒に歌う。忘れていた時間を取り戻すような光景を大津市から駆け付けた音楽療法士の呉竹英一さん(72)が見守る。「呉竹先生のおかげで活動を続けることができました」。星さんは感謝の思いを込めながら呉竹さんの教えを実践する。
 長年、福祉施設に勤務してきた星さんは、好きな音楽を生かして障害児やお年寄りの機能訓練に当たってきた。音楽療法の先駆者である呉竹さんの著書を参考にし、講習も受けてきた。
 昨年の3月11日、会津若松市にある自宅が地震で被災し、療法に使っていたバイオリンなどが壊れた。高価なバイオリンを購入するのは難しい。星さんは師と仰ぐ呉竹さんに手紙で窮状を訴えた。呉竹さんは早速、音楽仲間に中古のバイオリンの提供を呼び掛けた。十数本が寄せられ、特に状態が良い3本を星さんに贈った。
 震災直後は村の実家で暮らす母親や弟の世話に専念し、音楽療法から遠ざかっていた星さん。呉竹さんの善意が音楽への情熱を呼び起こした。現在は昭和村と喜多方市の特養施設を定期的に訪れている。
 23日、呉竹さんは非常勤講師を務める滋賀県の聖泉大の学生と共に、星さんが活動する昭和ホームを訪れた。呉竹さんも星さんと"競演"。歌声と笑顔に満ちた時間に、「100点満点」と星さんを評価していた。
 星さんは県内の音楽療法士の仲間と、震災や原発事故で仮設住宅に暮らすお年寄りらに音楽を届ける計画を話し合っている。呉竹さんによって教えられた音楽の力を信じ、活動の輪を広げる。

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