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【飯舘】国直轄除染1カ月遅れ開始 窮余の「仮々置き場」 住民同意 進ちょくの鍵

仮々置き場整備のため除草する作業員=25日、飯舘村二枚橋須萱行政区

 東京電力福島第一原発事故で全村避難する飯舘村で25日、国の本格除染が始まった。田村市都路町、楢葉町、川内村に続き4例目。除染廃棄物の仮置き場の供用開始が10月末にずれ込み、当初開始予定の8月下旬から1カ月遅れた。さらに環境省の試算で新たに仮置き場が必要になることが判明し、窮余の策として仮置き場に運ぶまで一時的に保管する「仮々置き場」を設けることに。一方、除染の同意が得られたのは19行政区のうち、4行政区だけで、今後、同意取得のスピードアップが課題となる。

■説得
 「キーン」。飯舘村で国の本格除染が始まった25日、村内の2枚橋須萱行政区に、草刈り機の刃が高速回転する甲高い音が鳴り響いた。環境省が発注した建設会社の作業員十数人が大人の背丈ほどに伸びた雑草を刈り取った。除染で出る廃棄物を仮置き場に運ぶまで一時保管する「仮々置き場」を確保するためだ。
 同省が小宮行政区の国有林に建設している仮置き場第一工区ができるのは10月末で、他の工区の完成は来年秋の見通し。このため、全20行政区に仮々置き場を設置して除染を進める方針だ。
 ただ、仮々置き場の設置が正式に決まっているのは2枚橋須萱行政区だけ。斜面の除草や整地をし、10月中旬までに約一ヘクタールを整備する計画だ。他の多くの行政区は整備の見通しが立っていない。同省の推計では、全行政区の居住空間を除染した場合に必要となる仮々置き場の面積は約90ヘクタール。村は広大な敷地を確保しようと、同省と協力し、住民への説得を続けている。
 村の担当者は「除染の重要性は誰もが分かっている。時間はかかるだろうが、最後は理解してもらえるはず」と話す。

■警戒感
 小宮行政区の国有林に整備している仮置き場だけでは、除染廃棄物を収容しきれないことが環境省の試算で新たに分かった。
 試算では、小宮行政区の国有林を含め、約140ヘクタールの仮置き場が必要となる。10月末に国有林に完成する仮置き場第一工区の面積は1ヘクタールほど。来年秋に運用を始める予定の他工区を合わせても大幅に不足する計算だという。現在、村と連携し、小宮と長泥、蕨平の3行政区にそれぞれ10ヘクタール以上の新たな仮置き場建設を検討している。
 ただ、中間貯蔵施設の建設が具体化しない中、住民は仮置き場の設置に警戒感を募らせる。新たな仮置き場の候補地となっている蕨平行政区の志賀三男区長は「迅速で徹底した除染を期待する。住民の帰還前には仮置き場にある廃棄物を撤去して」と注文を付ける。

■スピードアップ
 飯舘村での居住空間の除染は全20行政区のうち、今年度に西側の12行政区、来年度に東側の7行政区で行う。唯1、帰還困難区域の長泥行政区の除染時期は決まっていない。
 今回始まった本格除染の対象となるのは、2枚橋須萱、前田、上飯樋、臼石の4行政区。多くの住民から除染の同意を得ており、早ければ10月上旬から約300世帯の住宅周辺で作業を始める。村の担当職員は「除染が復興の第一歩。着実に進めたい」と期待を込める。
 今後、帰還困難区域の長泥行政区を除く15行政区の約1500世帯から同意を得て、来年度末までに除染を終わらせる計画だ。ただ、計画通りに除染が進むかは同意取得のスピードアップに懸かっている。
 これまで環境省の担当者と、委託業者の建設コンサルタント合わせて延べ約1000人が2~3人のチームを組み、1日当たり3~5件の同意を得てきた。同省は対象世帯が増えるため、人数を増やし除染交渉に当たる考えだ。
 しかし、交渉の結果、同意を得られないケースもある。同省の担当者は「理解を得られるよう丁寧な説明を繰り返すしかない」と強調する。

【背景】
 国は警戒区域など避難区域を抱える11市町村を除染特別地域に指定し、自治体が策定した計画に基づき、汚染土壌の仮置き場などが確保できた地域から国の直轄で本格除染を進めている。これまでに田村市都路町と楢葉町、川内村で着手した。帰還困難区域となる地域については、高線量の地域で除染モデル実証事業を実施し、結果を踏まえて対応を検討する。飯舘村は住民の帰還時期の目安として、役場のある中央部など16行政区を平成27年3月11日以降、比較的放射線量の高い比曽と前田八和木、蕨平の3行政区を28年3月11日以降、帰還困難区域の長泥行政区は29年3月11日以降としている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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