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【巨大津波 遅れた対策3】被害想定追い付かず 科学的な解析が不可欠

 県は災害への備えを盛り込んだ県地域防災計画を昭和38年度に初めてまとめた。その2年前に定められた災害対策基本法で、都道府県が、それぞれの地域の計画をつくることになった。
 当時は歴史上の津波に関する科学的な研究やデータの蓄積は少なかった。このため、県や市町村は津波に対する具体的な備えを打ち出しにくかった。当初の計画の津波対策は、海岸に堤防を整備したり、適切に補修したりする「予防策」が記されただけだった。
 昭和39年の新潟地震を受けた修正で「応急対策」の記述が加わった。しかし、県災害対策課長の小松一彦(57)は当時の資料を見ながら「津波が来たらすぐ逃げる、避難先はできるだけ高い所とする...。そんな大まかな対策しか考えることができなかった」と指摘する。過去の津波に関するデータが乏しく、津波による具体的な被害は想定できなかった。

■修正重ねる
 県は全国で発生した災害の教訓をもとに計画の修正を重ねた。
 平成7年1月の阪神大震災を受けた見直しで、地震災害の対策を「震災対策編」として独立させ、津波対応も充実させた。7~9年度には「地震・津波被害想定調査」に取り組んだ。
 本県沖で発生の可能性がある2つの地震モデルを設定し、33地点の沿岸部で予測される津波の高さを推定した。護岸の高さと比べた危険度をA~Dの4つのランクに分けた。
 その結果は、東京電力福島第二原子力発電所のすぐ北側にある富岡町仏浜で、モデルの1つである高角断層地震の最大津波水位は6.1メートルとなり、「背後の市街地まで浸水被害が生じる」と危険度ランク「A」と判定した。同じモデルで「B」が7地点、「C」が19地点、「D」が6地点だった。B~Dは「基本的に既存施設で越流を阻止可能」とされた。その当時の堤防などの施設によって、津波をほぼ食い止められるとの見方だった。
 調査は、津波が護岸に到達したときの津波の高さを中心に検討した。しかし、浸水や被害の広がりまでは明らかにされなかった。「津波規模を具体的に想定するまで踏み込んでいなかった」。県生活環境部次長の古市正二(56)は当時の調査を顧みる。

■ハザードマップ
 県は17年度の計画修正で、沿岸市町による津波ハザードマップ作りに取り掛かった。マップには津波が襲来したときの避難所や避難経路が示される。しかし、その前提となる津波被害の想定はなく、市や町は思うようにマップを作ることができなかった。
 地震防災対策特別措置法に基づき、県は各市町に被害想定を示す役割を担う。だが、地震や津波の発生する場所や規模、地形の調査を踏まえて想定をまとめるには科学的な解析が必要だった。
 16年に発生した新潟県中越地震を受け、国の交付金を津波の被害想定調査に充てることが可能になった。古市は18年度に県災害対策グループ参事として携わった。「ようやく具体的な津波対策の第一歩を踏み出せる」と感じた。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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