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【巨大津波 遅れた対策4】浸水面積、予想超す 市町「マップ」作ったが...

 死者466人
 重傷者737人
 建物全壊2270棟
 「津波はこれほど甚大な被害を出すのか...」。県生活環境部次長の古市正2(56)は余りにも大きな数字を見て、がくぜんとしたことを思い出す。
 平成19年6月、県は津波の被害想定を初めてまとめた。古市は直前まで担当の災害対策グループ参事を務めていた。数字は、明治29(1896)年に起きた、岩手県沖を震源とする地震(明治三陸地震)をモデル(マグニチュード8.6)に、はじき出された。

■最先端の調査
 県は平成17年の県地域防災計画の修正で、太平洋沿岸の市や町が津波発生時の避難経路や避難場所を示すハザードマップを作るよう定めた。しかし、その後2年間、マップ作りは進まなかった。市や町が津波発生時の具体的な被害を想定できず、対応策を描けなかったためだ。
 県は平成18年度、国の交付金を活用し、具体的な被害想定をまとめる作業を始めた。沿岸の市や町の担当者、専門家らをメンバーにした県沿岸津波浸水想定検討委員会で議論した。
 「科学的な調査から地震の全容が明らかで、本県に影響が及ぶ可能性がある」として明治三陸タイプ地震と、宮城県沖地震(マグニチュード8.2)、本県沖高角断層地震(同7.7)の3つのケースを設定した。航空機に積んだレーザーで地形を把握し、地震の発生位置や規模と合わせてコンピューターで解析した。
 3つのケースごとに津波で浸水する範囲、津波がさかのぼる高さ、建物や人的被害を割り出した。「当時、最も高度な手法でシミュレーションした」。委員長を務めた越村俊1(40)=東北大災害科学国際研究所教授=は顧みる。

■明治三陸の5倍超
 県が津波の被害想定を示したことで、市町の津波ハザードマップ作りは急速に進んだ。平成20年度までに沿岸にある10市町の全てが完成させた。
 ただ、昨年3月11日の東日本大震災に伴う津波は、沿岸部の浸水面積が推計で1万1200ヘクタールに上った。被害想定が最大規模だった明治三陸タイプ地震の5倍を超えた。市町がマップに示した津波の被害防止策は、ほとんど役に立たなかった。
 「まさに想定外だった。マップの効果をどうこう言える規模ではなかった」。古市は力なくつぶやいた。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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