東日本大震災

  • Check

本県独自の指針策定へ 原子力規制委

 原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)は17日、事故を起こした東京電力福島第一原発を抱える福島県に特化した独自の原子力災害対策指針を策定する考えを示した。指針原案に掲げた防災対策重点地域の範囲を、廃炉作業が進む福島第一原発の状況を踏まえて別枠で検討するとみられる。同日開かれた定例会合で、県の荒竹宏之生活環境部長が独自指針を作るよう要請したのに対し、終了後の記者会見で「県や被災市町村の要望を聞き、具体的に反映できる指針にする」と述べた。

■実効性課題
 記者会見で田中委員長は「福島第一原発は廃炉に向かう状況で、他の原発とは全く違う。現実に合った対応が必要」と述べ、原発事故の被害が続く本県の状況を踏まえて指針を検討する意向を明らかにした。
 指針原案では、大量の放射性物質が拡散する事故を想定して事前に備える防災対策重点地域を原発の半径30キロ圏とした。しかし、原子炉が損傷し、水素爆発で吹き飛んだ原子炉建屋内に使用済み核燃料などが放置されたままになっている福島第一原発で再び大事故が起きた場合、昨年の事故と異なる破損や機器のトラブルなどが想定され、県や周辺自治体に新たな対応が求められる。
 このため、規制委は福島第一原発の原子炉など施設状況を基に、原案の重点地域にとらわれない本県独自の範囲を設定するとみられる。県は避難指示発令の根拠となる原子炉状態の指標などの必要性も指摘している。
 規制委は県の意向を指針策定の参考とするとみられるが、実効性のある指針をどう打ち出し、県や市町村の防災態勢づくりに生かしていくかが課題となる。規制委は今後、県や避難区域を抱える市町村などから要望を聞く場を設け、指針に被災地の意向を反映させる考えだ。
 荒竹部長は会合で指針に対する県の意見を求められ、「本県の実情を踏まえた固有の指針策定が必要だ」と強調。原発事故の初動対応でモニタリング調査やスクリーニングの人員確保、避難指示が出た地域の立ち入り制限、住民の広域的な避難に伴う自治体間調整など多くの課題が生じたと説明し、「強制力のある国の調整権限を指針に位置付ける必要がある」と述べた。

■「SPEEDIも必要」 田中委員長 住民避難で見解
 東京電力福島第一原発事故で住民避難に活用されなかった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は17日の記者会見で「(放射線量などの)実測をベースにSPEEDIの拡散予測も組み合わせて住民避難を考える必要がある」と述べ、今後も活用する考えを示した。
 田中委員長は「気象が明日にかけてどう変わるか、どう(放射性物質が)拡散するかの予測も併せて考える必要がある」と述べた。
 原発事故で、政府は避難指示を原発から同心円状の範囲で出したが、実際の放射性物質の拡散は風向きなどに左右され、避難指示が放射線量の実態に即していなかった。事故発生時の実効性のある避難態勢の確立が課題となっており、規制委は事故に事前に備える防災対策重点地域を原発の半径30キロ圏に拡大するとともに、SPEEDIの活用を検討する見通しだ。
 規制委に統合された旧原子力安全委員会は「拡散予測に基づく避難判断は事実上困難」とし、放射線量の実測値などを基準に避難するかを決めるべきだと提案していた。

※原子力災害対策指針 東京電力福島第一原発事故を踏まえた防災対策の指針として原子力規制委員会がまとめる。今月3日に示された原案は、事故を事前に備える防災対策重点地域を原発の半径30キロ圏とした。このうち、半径5キロ圏は事故後に直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」、30キロ圏は避難や屋内退避の準備をする「緊急防護措置区域(UPZ)」としている。また、半径50キロ圏を目安に、安定ヨウ素剤の服用を対策の中心とする「放射性ヨウ素防護地域(PPA)」を検討する必要があるとした。指針は旧原子力安全委員会が原発事故後に改定を検討し、規制委が原案をまとめた。県は9月に指針の検討状況を踏まえ、「原子力防災対策を重点的に充実すべき地域(重点地域)」を福島第一、第二原発近隣の広野、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江の従来の6町に、いわき、田村、南相馬、川俣、川内、葛尾、飯舘の7市町村を加えた13市町村に暫定的に拡大する案を打ち出している。

東日本大震災の最新記事

>> 一覧