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今を生きる 4人合わせ「347歳」 笑顔絶やさず前向き

避難先の借り上げ住宅で談笑する(左から)信さん、恵久子さん、信雄さん、ツルさん

■大熊から若松に両親と避難、金婚を迎えた 吉田信雄さん(76)恵久子さん(70)夫妻
 会津若松市の借り上げ住宅で避難生活を送る大熊町の吉田信雄さん(76)と妻恵久子さん(70)は、今年3月に結婚50周年を迎えた金婚夫婦だ。同居する信雄さんの父信さんは100歳、母ツルさんは101歳。「俺たちも『高齢者』の仲間入りをしたけど、目の前の『大先輩』の方が元気だよな」。信雄さんの言葉に、3人の表情が緩む。
   ◇    ◇ 
 信雄さんは元高校教師。恵久子さんは浪江高時代の教え子で、卒業後に再会し、昭和37(1962)年3月に結婚した。
 「おふくろはまさに『姉さん女房』だが、恵久子は一歩下がってついてきてくれるタイプ。本当にいい奥さんをもらった」と信雄さん。照れくさそうに笑うと、恵久子さんも「ついていくことしかできないから」。英語教師として奮闘した信雄さんの教員時代も、東京電力福島第一原発事故で避難所を転々とした震災後も、夫婦仲は変わらない。恵久子さんは常に信雄さんに寄り添い、支え続けてきた。
 「100歳を2人も介護しているんだ。信雄、恵久子に何か勲章をあげてもいいんじゃないか」。4月に100歳賀寿を受けた信さんが声を掛けた。
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 賠償、中間貯蔵施設、仮の町構想と、町は大きな問題を抱える。自宅は第一原発から約2キロ。帰れる見通しはたっていないが、今は明るく前向きに生きるしかない。
 「戻れないんだからしょうがない。廃炉を見届けるまで長生きしないといけないな」。信さんが冗談交じりにつぶやくと、また場が和む。避難先の2DKの借り上げアパートには、"計347歳"となる4人の笑い声が絶えない。

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