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【飯坂温泉】廃旅館 解体進む 半壊...まず3軒完了 景観アップ、跡地利用課題

解体が進み、更地となった旅館・湯乃家別館旅館跡地(手前)=福島市飯坂町湯野

 福島市の飯坂温泉で、廃業するなどして廃屋状態にある旅館のうち、東日本大震災で半壊した約10軒が国の損壊家屋解体補助を申請し、まず3軒が撤去された。建物の危険性が指摘されていたことを受けて旅館の所有者らが適用を求めた。廃屋旅館は温泉地の景観を損ねていただけに、温泉関係者は「イメージアップの第一歩」と期待している。ただ、撤去後の跡地利用などに課題が残る。

■壁崩落
 「台風の際に壁板などが剥がれ落ちるのを見た」。国の解体補助に申請している旅館の近くに住む男性は不安を口にした。旅館は閉鎖から15年以上経過している。震災後は特に傷みが激しく、1日も早い撤去を望んでいる。
 補助は震災で半壊以上と診断された建物の撤去費を最終的に国が全額負担する制度。市に申請し、国との協議の上で決まる。
 既に飯坂温泉地区にある約10軒の廃業旅館の所有者や権利者らが市に申請している。このうち、旧やなぎ屋、湯乃家別館、旧わがやは、既に認定を受け、撤去された。申請している残りの旅館も、近く撤去の可否が判断される。
 申請している旅館の関係者は「生活を支えてきてくれた建物を取り壊すのは正直寂しい」と漏らしながらも「地区民にこれ以上危険な思いをさせることはできない」と胸の内を話した。

■用途
 旅館撤去後の跡地は私有地のため、所有者が利用方法を決める。多くが温泉街の中心部にあり、有効活用につながるかどうか、心配する声は多い。
 飯坂地区は平成18年度から5カ年の都市整備事業で旧堀切邸や共同浴場波来湯、石畳などが整備され、福島交通飯坂線の飯坂温泉駅も改修された。しかし、中心部は駐車場が慢性的に足りない状態だ。
 関係者からは「更地を駐車場として開放してもらえるだけでもお客さんが集まる材料になる」との声が上がる。地元の男性は「総合的な観光土産店などを建ててくれれば飯坂の振興につながる」と希望している。

■イメージダウン
 「少しでも廃屋が減れば観光客にいい印象を持ってもらえるはず」。飯坂温泉観光協会の畠隆章会長は願いを込める。
 飯坂温泉には最盛期で約130軒の旅館が立ち並んでいたが、現在、同協会に加盟している旅館は47軒。廃業後、多くの旅館が取り壊されたが、十数年にわたり温泉街に残された建物も多く、温泉街のイメージが下がると撤去を求める声が出ていた。
 協会によると今回申請した約10軒が撤去されたとしても、他に十数件の廃屋状態の旅館が残るという。撤去への見通しは不透明で、長期的な課題となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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