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家族一緒に山登り 早朝の海岸散歩が楽しみ

■南相馬市鹿島区北海老 丹治俊夫さん(69) 道子さん(69) 三紀さん(40)
 俊夫さんと妻道子さん、三女の三紀さんは地震直後、太平洋を望む南相馬市鹿島区北海老の高台にある自宅にいた。津波は高さ約17メートルの岸壁を越えて押し寄せ、3人がいた木造2階建ての住宅を襲った。俊夫さんと三紀さんは翌3月12日に自宅近くで見つかり、道子さんは約1カ月後にいわき沖で海上自衛隊に発見された。
 福島市出身の俊夫さんは市内の青果物卸売り会社に勤務し、趣味の山登りを通じて道子さんと出会った。3人の娘が生まれた。俊夫さんは家族から頼りにされる一家の大黒柱だった。仕事熱心で部下の面倒見が良かった。専務として経営にも携わった。
 退職後は趣味の山登りに適した場所として一度は宮城県白石市に移ったが、「雪が降らない場所に住みたい」と平成18年に南相馬市鹿島区に家を新築した。
 東京都内に住む長女の水上麻紀さん(46)によると、道子さんは優しく、いつも明るい太陽のような存在で、三紀さんは真面目でおとなしい性格だったという。
 麻紀さんは中学生のころを思い出す。休日のたびに家族5人で吾妻連峰や安達太良山に登った。先導は俊夫さん。山頂では道子さんが作ったおにぎりを食べながら会話を弾ませた。
 俊夫さんと道子さん、三紀さんの3人は太平洋から登る朝日を見ながら海沿いを散歩するのが好きだった。俊夫さんが「気候が良くて住みやすい」と話していたことを麻紀さんは覚えている。
 震災後の昨年3月20日に麻紀さんが実家を訪れると、土台だけが残っていた。「白石市に住んでいればこんな事には」と思う半面「あれだけの津波だから仕方ない」という気持ちもある。
 「天国で仲良くしてるかな」。麻紀さんは、東京の空を見上げながら3人の冥福を祈っている。

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