東日本大震災

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南相馬の7排水機場、国直轄で早期復旧 80億円投入

 農林水産省は23日までに、東日本大震災で津波被害を受けた南相馬市小高、原町両区の旧警戒区域にある県、市所有の7つの農業用排水機場を直轄事業で復旧させる方針を固めた。住民帰還に向けての営農再開や生活環境の基盤整備のため不可欠な施設で、早急な対応が必要と判断した。津波で被害を受けた公共施設の国直轄による復旧事業は県内初。事業費80億円を投じ、早ければ年内にも着工し、平成27年度の完了を目指す。ただ、同市は農地除染の遅れなど営農再開に向けての課題も抱えている。
 農水省が復旧工事に乗り出すのは県営の村上、村上第二、小沢(小浜)の3施設と、市営の塚原第二、福浦南部、小沢、谷地の4施設。排水機場がある場所は今年4月に東京電力福島第一原発事故の避難区域が避難指示解除準備区域に再編された。住民の日中の立ち入りは自由な地域にある。
 7施設は津波で施設そのものが流されたり、設備の一部が損壊するなどした。このため、満潮時や降雨時には手動の仮ポンプで対応しているが、排水が間に合わず水田が冠水するケースがあり、住民から早期復旧を望む声が出ていた。7施設が復旧すれば、計約780ヘクタールの水田の排水が可能になる。特に小高区の場合、全体の約4割をカバーできる。
 津波被害が甚大な沿岸部は復旧工事の総量が膨大で、県営や市町村営事業の開始が滞っているのが実態。さらに7つの排水機場は旧警戒区域内にあり、対応が遅れていた。国は震災後の昨年5月、土地改良法の特例法を施行し、災害査定などを担当する自治体の職員が不足しているなど特殊なケースに限り国直轄事業の採択を可能にした。復旧工事は国の特定災害復旧事業として行われ、費用のほぼ全額が国費から出る。
 東北農政局防災課は「国直轄事業に移行すれば、地元自治体職員の負担が減り、工事発注などにスピード感が増す」と期待する。県農林水産部は「市、県ともに職員が足りない状況。国の支援を受けながら住民帰還を一日でも早く実現させたい」、南相馬市農林水産課は「今回の国の対応は営農再開と住民の早期帰還につながる」とそれぞれ歓迎する。
 排水機場は自然排水が困難な海抜ゼロメートル地帯の堤内地から海側にポンプで排水をくみ出す設備で、県内沿岸部には43施設ある。このうち41施設で津波などの被害を受けた。今回の7施設と楢葉、浪江両町にある3施設以外は県による応急工事が進んでいる。

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