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今を生きる 教訓教え子のために 放射線教育確立誓う 福島市民ベラルーシ視察団

ホイニキの中等学校で放射線に関する授業を視察する菅野さん(左)

■福島一中教諭 菅野泰英さん 45

 【ベラルーシ・ホイニキで江花潤記者】ベラルーシを訪問している福島市の市民放射線対策先進地視察団は24日、ゴメリ州ホイニキを訪れ、現地の中学校を訪れた。団員で福島一中教諭菅野泰英さん(45)は、同市が独自に取り組む放射線教育のカリキュラムづくりに携わった。東京電力福島第一原発事故に悩みながら、手探りで対峙(たいじ)してきた。「福島で生きていく子どもたちのため、何かしなくては」。視察を通し、放射線教育の重要性を胸に刻む。
 チェルノブイリ事故から26年。菅野さんが訪れたストレリチェヴォ中等学校では、内部被ばくを防止するため、劇を通し放射性物質に理解を深める授業が行われていた。
 ホイニキでは週1回、放射線に関する授業を行い、保護者や地域住民も月1回は参加する。被ばく量を減らすため、1年に1回は保養施設で生活する国のプログラムに参加するなど、児童、生徒が統一的な放射線教育を受ける。「ベラルーシは政府が情報を管理し、防護策を講じている」。ベラルーシと同様の放射線教育システムの必要性を強く感じ取った。
 現在受け持つ生徒は中学2年生。東京電力福島第一原発事故が発生した時は小学6年生で、多くは東日本大震災と原発事故の混乱で卒業式ができなかった。生徒たちが経験した苦しみや悩みを身近で感じながら支え続けてきた。今回の視察事業にも「チェルノブイリ原発事故から26年間に培った経験と知識、そして現地の今を学び、子どもたちのために生かしたい」と申し込んだ。
 福島市の小中学校は放射線教育に取り組んでいる。菅野さんを含む市内の理科教諭らが集まり、教本を作った。小学校は総合的な学習、中学生は理科などで指導している。視察団の帰国後、市教委はこれまで使用した放射線教育カリキュラムへの感想などを踏まえ、改定する。今回のベラルーシ視察の成果を反映する考えだ。
 菅野さんは家庭に戻れば中学3年生の長男と小学6年生の長女を持つ父親だ。放射線への影響は、やはり気になる。「同じような思いを持つ親は多いはず。その不安解消に教育の果たす役割は大きい」。放射線と真っ向から向き合い、児童や生徒、保護者に正しい知識を伝え続けることを誓った。
 異国の地で放射線の不安にさらされながら、生き生きと学ぶ子どもたち。その姿に目を細め、福島の教え子の姿を重ねた。「答えはすぐには見つからないかもしれない。でも、前に進むしかないね」

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