東日本大震災

  • Check

民有林除染で防護柵先行設置 放射性物質の拡散抑制

 県は、平成25年度に開始する県内民有林の間伐による除染で、森林の土壌に付着した放射性物質が生活圏に拡散することを防ぐ防護柵を設置する方針を25日までに固めた。間伐に先行して作業する。初年度は約3千ヘクタールを除染対象とし、設置地点は最大1万カ所に上る見込み。県内で東京電力福島第一原発事故による森林内部の放射性物質が雨や間伐、除染作業で沢水などに混入し、下流域の住民生活、農業への影響を懸念する声が出ていることを受けての対応。ただ、使用後の放射性物質を含んだ吸着材の処分方法などの課題が残る。
 県による防護柵の設置イメージは【図】の通り。間伐に伴う作業道整備や伐採作業で、土壌表面の土が崩れたり、雨水が斜面を流れる際に汚染され、放射性物質を含む土砂や水が沢に入り生活圏に拡散するのを防ぐ。
 防護柵は木製で幅三メートル、高さ40センチ程度。ゼオライトや顔料のプルシアンブルーなど放射性セシウムの吸着効果がある物質を入れた袋を斜面上部に敷き詰める。間伐作業を始める地域で、雨水などが通る場所を選んで設置し、防護柵を通過する水に含まれる放射性物質の量を抑制する。
 県は設置費用を一カ所当たり1万円程度、1万カ所で1億円と見込み、国の森林再生の関連事業費を充てる方向で関係省庁と協議している。
 県によると、一つの防護柵に土のう12袋分の吸着材を置いた場合、一カ所当たり1万3000~2万5000ベクレルの放射性セシウムの吸着効果があるという。一定の期間を過ぎた後は交換することになるが、現時点で使用後の吸着材や木材の搬出先は決まっていない。森林内に一時的に保管することになるため、県は作業時の被ばく防止など安全対策を検討する。
 県内の森林は約97万ヘクタールで、このうち約56万3千ヘクタールが民有林。県は年間被ばく線量が一ミリシーベルト以上の民有林約18万3千ヘクタールを対象に間伐による除染に取り組む方針。県土の1割を超える面積で、実施期間は20年程度を想定している。
 一方、国有林は約41万ヘクタールだが、国は森林除染の明確な方向性を示さず、防護柵の設置方針も打ち出していない。県農林水産部は「県民生活の安心を確保するために防護柵が必要。林野庁と協議した上で設置したい」としている。

東日本大震災の最新記事

>> 一覧