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復興への選択(2)「政治の力 今こそ必要」 除染遅く、いら立ち

福島市小倉寺地区では住宅の除染作業が進められた=22日

 環境省が22日に公表した東京電力福島第一原発事故の廃棄物を受け入れる中間貯蔵施設の整備に向けた現地調査の概要は、12日に行われた県との非公開の協議の中で説明がなされた。
 席上、環境省側は候補地を抱える双葉郡の町村への説明が終わっていないことを理由に内容を伏せるよう求めた。
 中間貯蔵施設の整備などをめぐっては県や関係市町村への説明前にしばしば情報が外に出てしまい、そのたびに首長らをいら立たせていた。「交渉事の段取りが分かっていない」。県幹部はそう感じていた。
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 環境省は原発事故後に除染と放射性廃棄物の中間貯蔵施設整備を所管した。職員定数は全国で約1300人(平成23年度末)。公共事業を手掛ける国土交通省のわずか2%、農林水産省の5%にすぎない。
 除染を手掛けるのはもちろん初めて。大規模施設の建設を担った実績、用地取得や地権者交渉などの経験も両省に比べれば乏しい。県や市町村の担当者からは「除染の進め方を相談に行っても、『本省に聞いてみる』という答えばかりで、さっぱり要領を得ない」と風当たりは強い。
 批判を受け、環境省は11月から決裁権を持つ職員を福島環境再生事務所に新たに配置した。しかし、「成果が見え始めた」という話はまだ聞こえてこない。
 事務的作業だけではない。昨年6月に来県した環境事務次官の南川秀樹は記者の前で「県内に最終処分場を整備したい」と唐突に発言。今年8月には県内の森林全体の除染は不要との方針を固めたと大きく報道された。いずれも地元には何の根回しもなく、県や関係市町村からは「こんなことをやっているから話がこじれる。環境省の体制を整え、除染の推進を図るには政治の力が必要だ」との声も出ている。
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 県内で比較的放射線量が高い福島市小倉寺地区。2月に除染が始まったが、これまでに終了したのは約900戸のうち約500戸にとどまっている。
 70歳を過ぎた男性が庭の表土を削り取る作業員の姿を見詰めていた。「除染のスピードが遅いよ。放射線を気にして孫が家に寄りつかなくなった。国会議員は大勢いるのに、一体何をやっているのかね」(文中敬称略)

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