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津波避難呼び掛け 漁師継いだ自慢の息子

■相馬市磯部 高戸清一さん(36)
 消防団員だった清一さんは地震発生後、すぐに相馬市磯部の消防屯所に駆け付けた。消防車を出動させようとしたが、地震の揺れで車庫のシャッターがゆがみ、開かなかった。清一さんと仲間2人が急いでシャッターを壊す姿が目撃されている。
 「早く逃げて。津波が来ます。急いで」。地区内を消防車で巡り、住民に大声で避難を促し続けた。巨大な津波は予想以上に早く到達した。走っていた消防車ごとのみ込んだ。震災から4日後、屯所から500メートルほど離れた消防車のそばで清一さんが見つかった。仲間2人も近くで発見された。
 「最後まで立派だった。けれども悔しい」。父の忍さん(65)は涙ぐむ。中学校を卒業後すぐに、漁師を継いでくれた自慢の息子だった。忍さんは清一さんに高校に進学してほしいと思っていたが、清一さんの「おやじのようになる」という決意は固かった。代々続く漁師一家。忍さんは海のおきてを一からたたき込んだ。黙々と仕事に励み、めきめき腕を上げた清一さんは、忍さんの良きパートナーとなった。
 清一さんは、優しい性格だった。人の悪口は決して言わず、思いやりがあった。慕う友人は多かった。
 忍さんは「息子は独身のまま亡くなってしまった。結婚するのを楽しみにしていたが...」と悼んだ。

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