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今を生きる 「震災忘れないで」 富岡からの避難生徒入部 体験交え訴え

震災、原発事故をテーマにした演劇の練習に励む大沼高演劇部員

■きょう開幕 東北地区発表会出場 大沼高演劇部(美里)
 秋田市で22、23の両日、開かれる第45回東北地区高校演劇発表会に本県代表として出場する会津美里町の大沼高演劇部は、東京電力福島第一原発事故で避難生活を送る高校生が勇気を胸に前に進む姿を演じる。「古里に帰れず、避難先で頑張っている人にエールを送りたい」。東日本大震災と原発事故を風化させてはならないという思いを胸に、大舞台に立つ。
 ≪原発事故で女子生徒2人が浜通りから避難し、会津地方の高校に転校した。転校先の同級生6人との交流を通じ互いに心を通わせ、津波の恐怖や肉親を亡くした悲しみ、避難生活の苦労を一緒に乗り越えていく≫
 演劇部顧問の佐藤雅通教諭(46)が書いた脚本に部員全員で意見を出し合い作り上げた。
 部員の1人に原発事故で富岡町から会津若松市に避難している坂本幸(みゆき)さん(18)=3年=がいる。原発事故後、郡山、喜多方両市や県外など転々と避難した。大熊町の双葉翔陽高に在籍していたが、昨年5月に大沼高に転校し、演劇部に入った。
 「体験者として伝えるべきことがあると思った」。両親、弟と借り上げアパートで避難生活を送る。そんな自分だからこそ分かる避難者の心情を劇のせりふに投影させた。
 劇中、避難した高校生の主人公が訴える。「『被災者』って呼ばれるけど、みんなと同じ生活をしているよ。毎日、楽しいよ。全然かわいそうじゃない」。避難者として同情してもらえるのはありがたい半面、「特別扱い」に戸惑う部分があることも理解してほしかった。
 主人公が願いを打ち明ける場面がある。
 「震災のことはこれから先、ずっと忘れないでほしい。何十年も、何百年も語り継いでほしい」
 坂本さんは「部員が震災を大事なことと受け止めてくれているのがうれしい」と語る。部長の田口準君(16)=2年=は「福島県は原発事故の影響で復興が十分に進んでいない。福島県を忘れないでいてほしい。悔いを残さないよう全力で舞台に臨む」と意気込む。
 学校には坂本さんの他にも避難してきた生徒が12人いる。町内には楢葉町民が暮らす仮設住宅があり、ボランティアも体験した。部員は避難者に身近に接したり、触れ合いを持ったりする中で抱いた、さまざまな感情を芝居にぶつける。
 劇の最終盤、主人公らが力強く宣言する。「どんなことがあっても、負けない」

■安積高も出場
 第45回東北地区高校演劇発表会には、県高校演劇コンクールで優秀賞第1席に選ばれた安積高も出場する。「終わらない夏-かっぱえびせんの向こうに」と題して、国際連合平和維持活動(PKO)に協力するボランティア団体の活動を題材に演じる。
 大沼、安積を含めた東北地方の12校が出場し、最優秀賞校は来年8月に長崎市で開かれる全国高等学校総合文化祭に出場する。

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