東日本大震災

「放射線・放射性物質Q&A」アーカイブ

  • Check

放射線 放射性物質 Q&A チェルノブイリ事故の甲状腺がん、なぜ数年後発症

 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性ヨウ素の半減期は数日間と、ごく短いと聞きました。それなのにチェルノブイリ原発事故では甲状腺がんが事故後数年から十数年で発症したそうです。どうしてでしょうか。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー・長崎大大学院教授(放射線医療科学専攻) 高村昇さん

■被ばくして傷ついた遺伝子間違った修復で「リスク」に

 放射性ヨウ素の代表的なものにヨウ素131という放射性物質があります。ヨウ素131は半減期が約8日間と比較的短いのですが、その間にベータ線やガンマ線といった放射線を出します。
 チェルノブイリ原発事故では、ヨウ素131をはじめとする放射性ヨウ素によって汚染された食物、特に牛乳を子どもが摂取しました。こうして放射性ヨウ素が特に甲状腺に取り込まれ、そこから出る放射線によって甲状腺の内部被ばくが起きました
 放射性ヨウ素自体は半減期が短いため、数カ月もすると、なくなってしまいます。しかし、その間に出された放射線によって遺伝子に傷がついてしまいます。傷がついた遺伝子のほとんどは、修復遺伝子の働きによって元通りに戻りますが、高い放射線量の被ばくによって非常に多くの遺伝子が1度に傷がつくと、まれに間違って修復される遺伝子が出ます。このように間違って修復された遺伝子が数年から数10年後、がんになる「リスク」となります。
 チェルノブイリ原発事故では、このような経過をたどって、半減期の短い放射性ヨウ素の内部被ばくにより、甲状腺がんの発症が増加しました。これを踏まえ、昨年3月の福島第一原発事故の対応では、発生直後から暫定基準値を設け、特に放射性ヨウ素に汚染された食物を摂取することによる内部被ばくをできるだけ低減化する措置を取りました。現在はより厳しい基準値が設定されています。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

「放射線・放射性物質Q&A」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧