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【避難区域の家屋補修費賠償】請求書7000通届かず 東電、登記簿優先し発送

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の家屋補修費の賠償で、東電が対象者に送付した請求書2万4000通のうち3分の1に当たる約7000通が宛先不明で届いていないことが25日、分かった。避難実態を十分に確認しないまま不動産登記簿を基に発送したことが原因。被災者が郵便物の転送サービスを利用していなかったり、登記簿上の所有者が死亡しているなどのケースが続出した。補修費の支払いを受けることができない事態も懸念されるが、同社は対応策を見いだせていない。

■不明
 東電は7月下旬から、11市町村の避難区域内にある建物の所有者約2万4000人に請求書の郵送を開始した。
 この際、精神的損害賠償の受け付け手続きで独自に把握した対象者の名前や避難先、元の住所などの情報と、登記簿の記載を比較。名前と住所が一致しない場合には、登記簿の所有者の住所に請求書を送った。法的に位置付けられた登記簿のデータを信頼し、優先して活用するべきと判断したためだ。
 ただ、早急な対応を求める声もあり、避難実態の把握が十分にできなかった。避難先までの転送サービスを郵便局に申し込んでいない対象者の請求書は宛先不明となり、先月末までに約7000通が東電に送り返された。登記簿上の所有者が死亡しているにもかかわらず、名義変更されていない場合についても宛先不明となったという。
 東電福島地域支援室は「多くの方に請求書が届いていないのは事実で、申し訳ない」としているが、「対応策は検討中」とするにとどまっている。

■不満
 浪江町や楢葉町などの自治体では、東電が請求書の送付を始めた時期に「知り合いには届いたが、うちには来ない」といった問い合わせが一日に数件程度あった。担当者は土地・家屋の財物賠償の支払いの際に合わせて請求できることなど制度内容を説明した。
 当初、請求書が届かず直接、東電に問い合わせたという大熊町の男性は「東電は準備不足だ。被災者自身に問い合わせの手間を掛けさせるのは納得いかない」と不満を漏らす。

■懸念
 来年1月以降に本格化する土地・家屋の財物賠償でも、請求書の届かない事態が多発すると想定される。
 財物賠償では市町村の多くが固定資産税課税明細書を所有者に送付する。所有者は明細書を添付した上で東電に請求書を送る方式を採る。しかし、先行して送付を始めた葛尾村では、これまでに郵送した約860通のうち、40通程度が宛先不明で戻ってきた。
 村は固定資産台帳に記載された個人が亡くなっているケースがあるためと分析している。村総務課の担当者は「(こうした事態を)放置できず追跡調査するが時間を要するだろう。人口の多い市や町は、さらに対応が大変ではないか」とみている。
 県原子力賠償支援課は「財物賠償は生活再建のために重要。請求書の届かないケースがあってはならない」として、東電にあらためて対応を求めていく。

【背景】
 避難区域の家屋補修費の賠償基準は東電が今年7月に発表した。一日も早い生活再建につなげるため、土地・家屋の賠償額のうち一部を先に支払う。家屋が避難区域にある被災者が対象で、賠償額は1平方メートル当たり1万4000円、最大1000万円まで。避難期間中に雨漏りなどで破損した家の内装、水道管などの交換・修理が対象。補修費として支払われた分は、土地・家屋の財物賠償額から差し引かれる。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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