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セシウム調査前倒し 県、効果的除染法確立へ

 県は新年度、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性セシウムの動態調査に着手する。効果的な除染モデルを早期に確立し、県内の環境回復を目指すためで、平成27年度に設置予定の県環境創造センター(仮称)の事業を前倒しで実施する。中通り、浜通り、会津地方でそれぞれ河川や湖沼を中心にした数十キロ範囲の調査エリアを設定。セシウムが森林や平地、河川などをどう移動し、何が拡散の要因になっているのかを解明して防護対策につなげる。
 当初は環境創造センターの開所に合わせて調査を開始する予定だったが、一日も早い環境回復のため、県は前倒しする。
 調査エリアは、地形などの自然条件が異なる複数箇所を想定している。各エリアでは、土壌や落ち葉、河川の水などを広範囲に採取し、セシウム濃度を測定する。定期的に各地点の濃度差や変動幅などを比較するとともに、雨や風といった気象状況、地形なども考慮に入れ、セシウムの移動速度やルートを調べる。調査は複数年を予定し、人手を確保するため民間業者への委託も視野に入れる。
 収集したデータの分析・評価には専門的知識が必要となる。このため、県と除染などのプロジェクトを計画している国際原子力機関(IAEA)や日本原子力研究開発機構(JAEA)、国立環境研究所などに協力を求めていく方針。専門家による委員会などの設置も検討する。
 県は分析結果を基に、除染と汚染拡大防止モデルの確立を目指す。市町村が除染場所の優先順位を決定したり、沢水や除染が済んだ田畑、住宅地にセシウムが流入しないよう、どこに防護柵を設置するかなど判断する際に活用してもらう考えだ。
 予算は国の交付金を元にした約80億円のセンター整備・運営基金の一部を調査費に充てる。
 放射性物質の動態調査をめぐっては、JAEAも今月3日から避難区域の河川や森林周辺で調査に着手している。県はこれらの地点と重ならないように避難区域以外を対象とし、データを共有できるよう調整する。
 放射性物質が雨や風に運ばれて移動し、環境放射線量が減少することは「ウェザリング効果」として知られる。放射性物質そのものがなくなるのではない。
 実際、県内では除染が進む一方で、完了後に放射線量が再び上昇するケースもある。県は、県内の公共施設など572地点でモニタリングを実施しているが、現状の線量を確認し、情報提供するにとどまっている。再汚染を防ぐには、放射性物質の移動経路を把握し、防護策を講じることが重要課題の一つとなっている。
 県水・大気環境課は「試行錯誤が予想されるが、5年内には目に見える成果を出したい」としている。

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