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元松川漁協の組合長 養殖業 仕事熱心、人望厚く

■相馬市尾浜 菊地利さん 81
 利(さとる)さんは長年、松川浦でアサリとノリの養殖業に携わった。仕事熱心で世話好き。人望が厚く、平成9年までの約20年、合併前の松川漁協(現相馬双葉漁協)の組合長を務めた。松川浦のノリを売り込もうと三重県などの食品加工会社に出向き、商談を重ねた。自宅には黄綬褒章や各種の表彰状がずらりと並んでいた。
 平成10年に妻富子さん=当時(66)=、18年4月に長男利夫さん=当時(53)=に先立たれた。同年10月に自身も脳梗塞で倒れ、右半身が不自由になった。懸命なリハビリで右足だけが動くようになった。
 震災当日は、利夫さんの妻ちえ子さん(58)と自宅にいた。テレビで津波が来ることを知り、室内の電気を消して外に出た。いきなり、津波が押し寄せ、家ごと流された。
 ちえ子さんは水の上に頭が出た状態で流された。近くにいた住民に引き上げてもらい、辛うじて助かった。利さんは震災から2週間余り過ぎた23年3月27日、自宅敷地内から見つかった。
 家財のほとんどが流されたが、黄綬褒章を入れた額だけが発見された。利さんが生前、大切にしていた宝物だった。砂が額の中に入り込んでいたが、表面のガラスも割れずに、きれいなまま残った。
 ちえ子さんは自宅から約2キロ離れた借り上げアパートで長女久子さん(32)、次男旭さん(32)と暮らしている。近所の人たちが親身になって気遣う。「みんなからよくしてもらえるのは、お父さん(利さん)のおかげ」と感謝している。

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