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避難誘導、命救う 地震後消防活動「褒めてやりたい」

■相馬市磯部 佐藤峰生さん 30
 峰生(みねお)さんは約7年前に消防団に入ってからは、予防活動に休まず参加し、火事や災害が起きると率先して現場に向かった。
 震災発生後、相馬市内の勤務先から自宅に急いで戻った。消防団の法被を着て、近所の屯所からポンプ車を出すと、自宅にいた父孝秀さん(58)と母和美さん(53)、長男優瞳稀(ゆめき)君(9つ)の3人に「早く避難しろ」と言って車に乗せ、送り出した。孝秀さんが車内で振り向くと、じっと見送る峰生さんの姿があった。それが別れとなった。
 高台に避難した近所の人が、峰生さんの乗ったポンプ車が津波にのまれるのを見ている。峰生さんは震災から8日後、自宅から約3キロ離れた日下石地区付近で見つかった。
 孝秀さんは近所の人から「消防団員の避難誘導のおかげで助かった」と聞いた。「峰生の呼び掛けで助かった人がいることが救いだ」と語る。厳しく育てようと普段から褒めたことはほとんどなかった。「任務とはいえ、よくやった。褒めてやりたい」と話す。
 峰生さんは地域の先輩や後輩の誰とでも親しくし、自宅に招いて語り合っていた。休日は優瞳稀君と遊ぶのを楽しみにしていた。
 生前、「自分の部屋がある2階建ての家が欲しい」と話していた。孝秀さんらは震災後、相馬市内に新たに土地を求めて2階建ての自宅を新築、昨年12月初めに移り住んだ。和美さんは「まだ納骨はしていない。少しの間でも夢だった広い家に住ませてやりたい。せめて2月に予定している3回忌法要までは」と写真に語り掛けた。

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