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住民の放射線防護必要 第一原発廃炉作業事故想定。規制委指針改定案

 原子力規制委員会(田中俊一委員長・福島市出身)は30日、東京電力福島第一原発の災害対策を明記した原子力災害対策指針の改定案を公表した。廃炉作業時の事故を想定し、居住制限、避難指示解除準備の両区域に立ち入っている住民の放射線防護の必要性を指摘。国が積極的に協力し、緊急事態を伝達する手段を確保すべきとした。ただ、両区域内では住民の所在把握、避難誘導の人員確保などの課題も残る。
 原子力規制委が指針で福島第一原発についての災害対策を示すのは初めてで、内容は【表】の通り。
 避難区域再編に伴う居住制限区域や避難指示解除準備区域は原則、住民が自由に立ち入ることができることから、情報伝達についてさまざまな手段を準備しておくことが必要とした。自治体の早急な対策を促している。国には関係機関への協力要請などで積極的な支援を求めている。
 一方、避難住民が仮設住宅に入居している自治体などには、居住実態を把握する必要性を指摘した。原発事故に関する情報を、避難者に適切に伝達する態勢を整えるためだ。
 緊急時の放射線モニタリングは、国が機材を持つ関係機関などに協力を要請すべきとした。人体、衣服などの放射性物質による汚染の確認(スクリーニング)は、県地域防災計画で原子力災害対策重点区域を暫定的に拡大しているため、国が関係機関に協力を求めることで避難者数の拡大に対応する必要性を示した。一方、本来は指針で示すべき原子力災害対策重点区域について「発電所のリスク評価などを踏まえながらさらなる検討を進める」との表現にとどめ、改定案でも範囲を明示しなかった。今後の検討課題として「福島第一原発の廃炉工程の事故想定」「町外コミュニティー(仮の町)ができた場合の災害対策」などを挙げた。

■態勢づくり急務 人数把握、避難誘導困難

 政府の原子力災害現地対策本部によると、居住制限、避難指示解除準備の両区域は、区域内にいる住民の人数や居場所を把握する手段がない。このため、原発事故の発生に備えた情報伝達態勢の構築が急務だ。
 両区域内にいる住民への情報伝達は、自治体の防災行政無線や広報車での周知に限られるという。特に、役場機能を他市町に移した自治体の場合、人員不足から住民への連絡が行き届かず、避難誘導が遅れる懸念がある。
 ほぼ全域が避難指示解除準備区域で、役場機能をいわき市に移している楢葉町。区域内の当直職員は原則2人態勢で、防災行政無線以外に緊急時の情報伝達手段がない。他の職員が応援に駆け付けるにも時間を要するため、事故の際に避難ルートや避難先を迅速に指示することは困難とみている。町復興推進課の担当者は「町単独の態勢づくりは限界がある」として、国と県に人的支援を含めた対策の検討を求めている。
 県は指針の決定を踏まえ、情報伝達の態勢の在り方を検討する方針。「情報伝達体制の強化に向け、国や市町村と調整を進めたい」(原子力安全対策課)としている。
 政府は警戒区域、帰還困難区域で実施されている一時帰宅の場合、緊急時には巡回しているバスなどから周知するとしている。

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