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国、県の対策進まず 検証チーム編成未着手復興庁の対応遅れ

 東京電力福島第一原発事故による長期避難に伴う本県の「原発関連死」の対策が進んでいない。平野達男前復興相が明言した関連死の国と県の検証・対策チームの設置はいまだに実現しておらず、関連死を防ぐための対策や工程などは示されていないのが現状だ。復興庁は「緩やかに連携しながらデータの分析、検証を進めている」としているが、避難者からは「一刻も早く検証し、対策を打ち出すべき」と批判の声が上がっている。

■機能不全
 「プロジェクトチームに関する具体的な話はいまだにない。大臣命令のはずだったのに...」。県避難者支援課の担当者は復興庁の対応の遅さを嘆いた。
 震災から1年以上経過して死亡した人は2012年9月末で全国で40人、このうち本県が35人を占めた。平野前復興相は昨年10月30日、復興庁と厚生労働省、県などで検証・対策チームを発足させる考えを示した。
 だが、復興庁から県に関連死の情報収集に関する指示があったのは、大臣発言から2週間ほど過ぎた11月中旬。その後もチーム編成に関する相談はなく、関連死を防ぐ対策や工程などは示されていない。同庁の諸戸修二参事官は「緩やかに連携しながら対策を進めている」と釈明するが、省庁間を越えた担当者会議は1度も開かれていない。
 2月1日には復興庁福島復興局と環境省福島環境再生事務所、政府の原子力災害現地対策本部を一元化した「福島復興再生総局」が発足する。しかし、チームが再生総局に置かれる予定はない。同庁の担当者の1人は「関連死だけに専念できる人員的余裕はない」と明かす。
 公共政策が専門の福島大行政政策学類の今井照教授は「縦割り行政の弊害というよりは、各省庁から寄せ集められた復興庁の権限の弱さ、機能不全が問題だ」と指摘する。

■新たな認定制度を
 原発事故による関連死を含め、県内で最多の震災関連死を認定している南相馬市は、これまでに延べ500件ほどの災害弔慰金の支給申請を受け付け、昨年12月18日現在で388人を関連死に認定した。
 市社会福祉課によると、関連死の受付件数は減少傾向にある。ただ、原発事故に伴う避難が長期化する中、避難による関連死かどうか審査するのに時間がかかっている。担当者は「原発事故の避難で亡くなった人に対しての新たな認定制度を検討する時期に入っている」と話す。

■いら立つ避難者
 遅々として示されない関連死対策に避難者はいら立ちを隠せない。双葉町から福島市の仮設住宅に避難している無職川原光義さん(71)は「自分も高齢の両親と避難したので震災関連死は身近な問題。一刻も早く検証し、本格的な対策に乗り出してほしい」と求めた。
 富岡町から大玉村の仮設住宅に避難している団体職員鎌田光利さん(57)は「被災者にとって必要なことは政権が代わっても実行すべき」と訴えた。

背景
 津波による水死や建物倒壊による圧死など震災の直接的な原因ではなく、原発事故での避難生活による体調悪化や過労、精神的ショック、自殺など間接的原因で亡くなった被災者を遺族の申請に基づき市町村が関連死として認定している。医師、弁護士ら有識者で構成する審査会が因果関係を認めると、直接死と同様に市町村が最高500万円の災害弔慰金を遺族に支払う。避難生活の長期化に伴い、震災や原発事故と死亡との因果関係の認定が難しいケースもある。県によると31日現在の津波や地震による直接死は1599人、関連死は1270人。

カテゴリー:原発事故関連死

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