東日本大震災

「3.11大震災・福島と原発」アーカイブ

  • Check

【国策への異議6】庶民の権利守りたい 裁判に向け参加者募る

「福島原発訴訟」を振り返り、裁判資料に目を通す安田さん

 東京電力福島第一原発事故で被災した本県などの約350人は、慰謝料などを求めた集団訴訟を、事故から2年を迎える3月11日に、福島地裁に起こす。
 1月初め、その訴訟の弁護団会議が福島市内で開かれた。出席者の中に、かつて県弁護士会長や衆院議員を務めた安田純治(81)がいた。
 事故から1カ月余りが過ぎたころ、避難した人々が安田の元に相談を寄せ始めた。昨年暮れには、沖縄県で暮らす避難者を自ら訪ねた。賠償の相談に応じながら、地元の弁護士に協力を要請した。
 「東電に対して、被害者1人1人がばらばらに賠償を請求すれば、賠償内容もばらばらになる。場合によっては、被害者同士が対立してしまう。私は『敵は東電だよ』と言っている。被害者が一致団結して情報を共有し、交渉しないといけない」。安田は、そう説明する。

■父の姿
 安田は国民学校で学んだ後、茨城県にあったパイロット養成所で終戦を迎えた。戦後間もないころは、炭鉱や旅館で働き、紙芝居などの仕事にも携わった。
 その後、福島市内で弁護士を務めていた父覚治を手伝った。今のようなコピー機がない時代で、裁判所に出入りしては資料を手書きで写した。
 裁判所に通い慣れると、書記官と雑談を交わす仲となった。ある日、いつも通り書記官室で資料を書き写していた時、声を掛けられた。顔なじみの書記官だった。「俺も学歴がないけれど、一緒に司法試験を受けないか。教養試験に受かれば、司法試験を受験できる」
 小作争議で小作人の支援を続けた父の姿を目の当たりにしてきた。弁護士の資格を得ると、庶民の権利を守ることを信念とした。「権力がある人や金持ちは自分で権利を守れるから...」

■公害への危機感
 昭和48年12月、県は福島第二原発と広野火発の建設を前提とした公有水面(海面)の埋め立てを許可した。
 2カ月ほど前に政府主催で、福島第二原発の公聴会が福島市で開かれていた。公聴会で出た賛否両論の陳述がまとまるのを待たずに、出された許可だった。「住民の意見を全く無視している」。公聴会の開催を求めた楢葉町の宝鏡寺住職で、高校教師の早川篤雄(73)らの怒りは限度を超えた。
 訴訟を決意した早川、一緒に活動していた富岡町の高校教師、小野田三蔵(75)らは、支援を求めて弁護士を探した。たどり着いたのは、県立高教組の顧問弁護士を務めていた安田だった。
 大気汚染などの公害が全国各地で社会問題となっていた。安田も公害に対して危機感を抱いた。提訴に向け、裁判への参加者を募る取り組みが始まった。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

「3.11大震災・福島と原発」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧