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現場責任者 同僚らの命守る

■相馬市柚木 谷地田啓次さん 54
 南相馬市出身の啓次さんは昭和59年、友子さん(54)と結婚し、婿入りした。南相馬市の林業関連会社に勤め、3人の子どもを養った。責任感が強く、家庭を大切にした。
 震災当日は同市原町区の海岸沿いで工事に当たっていた。現場責任者として作業を指揮していたところ、突然、大きな揺れに襲われた。午後3時すぎ、啓次さんは自宅に電話をかけ、次男奨さん(21)に、けがはないかどうかを尋ねた。現場に津波が来ると、啓次さんは先に同僚らを避難させた。
 看護師の友子さんは南相馬市の病院に勤務していた。地震後、啓次さんの同僚が病院に駆け付け、友子さんに啓次さんの行方が分からないことを伝えた。啓次さんは翌3月12日、作業服姿のまま現場近くで見つかった。
 啓次さんは休日になると、息子の少年野球の応援に行った。農家だった友子さんの父栄さん(80)の農作業も手伝った。平成22年冬に栄さんがけがをし、コメを作れなくなった。啓次さんはいつか、栄さんの後を継ぐつもりだった。
 現在、約2ヘクタールある田んぼは親戚に貸している。「本当に、真面目でいい息子だった」。栄さんは居間から窓越しに見える田んぼをじっと眺めた。

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