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大谷石にセシウム吸着効果 県ハイテクプラザが実証 企業と再利用仕組み構築へ

実験で使用する震災がれきの大谷石を準備する研究員。放射性セシウムの吸着材として再利用が期待される

 県ハイテクプラザ(郡山市)は17日までに、東日本大震災で倒壊した塀などに広く使われている大谷石(おおやいし)が、放射性物質の吸着材として活用できることを実験で突き止めた。東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の除染に使われているゼオライトと同じ成分を多く含んでいるためで、同程度の能力を確認した。県はがれきの中の大谷石の再利用に向け、県内企業などと連携。がれきから収集し、吸着材として加工するまでのシステム構築を目指す。
 ハイテクプラザは県内の中通りで倒壊した塀の大谷石を砕いた粉末を、放射性を持たないセシウムを溶かした水溶液に入れ、どの程度吸着するか実験した。県内で人が居住する地域で地表に存在している放射性セシウムの濃度よりも大幅に高い濃度の100ppmに調整したセシウム水溶液50ミリリットルを用意。大谷石の粉末0・5グラムを入れてかき混ぜたところ、水中のセシウム濃度は検出限界値の0・1ppmを下回った。放射性の有無は吸着力に影響しない。この吸着力は市販のゼオライトとほぼ同レベルという。
 県内で発生したがれきには、原発事故で飛散した放射性物質が付着している可能性が高いが、大谷石を細かく砕き、セシウムが付着する表面積を増やすことで、新たにセシウムを吸着する能力にはほとんど影響がないことも確認した。大谷石は砕けやすい性質のため、再生骨材としての再利用には向かない半面、粉末にしやすいメリットがある。
 実験の成功によって、農作物が放射性セシウムを吸収することを防ぐために田畑にまいたり、家屋などを高圧洗浄機で除染した際に出る汚染水から放射性セシウムを取り除くフィルターにしたりするなど、ゼオライトの代替品として使える見通しが立った。ハイテクプラザは早ければ3月中にも県内企業向けに講習会を開き、民間への技術移転に乗り出す。企業などに再利用までの仕組みの早期構築を促す考えだ。
 全農県本部によると、同本部を通じて昨春に県内農家に除染用に供給したゼオライトだけでも約1万5千トン。費用は約8億4千万円に上り、大谷石の再利用で費用軽減や震災がれきの減容化の効果が期待される。
 福島大共生システム理工学類の佐藤理夫教授(化学工学)は「震災で発生したがれきの一部が活用できることは素晴らしいこと」と評価した上で「除染作業で発生する排水の汚染が問題になっており、今回の実験の成果を解決に生かせるのではないか」と語る。
 県内の震災がれきの中の大谷石の量を推計したデータはないが、県一般廃棄物課によると、県内の震災がれきの総量は約367万トン。郡山市は市内の震災がれきの総量約35万トン(推計値)のうち大谷石が3万トン程度を占めるとみており、全県の大谷石も大量にあるとみられる。

■回収法や収益など課題
 大谷石を放射性セシウムの吸着材として再利用する取り組みの実用化には課題も多い。
 仮置きされた大量の震災がれきの中から大谷石だけを回収する手法や、効率良く集める仕組みを確立する必要がある。また、民間業者が参画するには、一定程度の収益が上がることが不可欠で、回収や加工などのコストをどう低く抑えられるか、効率的な生産施設を整備できるかなどが鍵を握る。

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