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【国策への異議19】続いた住民側敗訴 「安全判断」に複合要因

東京地検への申し入れに当たって、記者会見する河合さん(左)=22日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 福島原発告訴団は、東京電力福島第一原発事故をめぐって、当時の東電幹部ら33人を業務上過失致死傷容疑などで福島地検、東京地検などに告訴・告発している。
 告訴団は22日、東電本店を家宅捜索して証拠を押収するよう東京地検に申し入れた。東京都内に事務所がある弁護士の河合弘之(68)は告訴団を支援している。申し入れに当たって東京・霞が関の司法記者クラブで会見し「本店には東電が津波対策を怠った証拠が山のようにあるはず」と語った。
 「告訴・告発を受け、検察は一生懸命、捜査に取り組んでいると思うが、遠慮があるのだろうか」。河合はもどかしさをにじませる。

■キャンペーン
 国や電力会社を相手にした原発訴訟で、住民ら原告側の勝訴は、石川県にある北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めをめぐる訴訟の一審・金沢地裁と、福井県にある高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の設置許可処分の無効確認を求めた訴訟の二審・名古屋高裁金沢支部の2つがある。
 しかし、司法の最終判断である最高裁で、2件とも原告側の訴えは認められなかった。この2件以外も、原告側の敗訴が続いている。
 河合は「日本の原発は絶対に安全なんだ、というキャンペーンに推進派自体がはまっていた。また、電力会社が改良や改善に努めると『じゃあ、今までのは危険だったわけ?』と、訴訟で主張されてしまう可能性があるので、改良するのはまずい、という雰囲気があった」と分析している。「『そんな(大きな)地震は来ないよ』という、漫然とした侮りもあった」と複合的な要因を主張する。

■変化の兆し
 河合はほとんどの原発訴訟で住民側が敗れ続けてきた理由について「最も根本的には、原発の"安全安心キャンペーン"が裁判官にも浸透していたのではないか。裁判官1人1人が原発差し止めを命じる判決文を書くのは怖かったのではないか」とみている。
 福島第一原発事故後、河合は裁判官の意識の変化を感じ始めている。「事故前、私は『ありもしないことを言い立てる変な弁護士』と見られていた。事故後は、訴訟の中で裁判所側が『彼らの言うことを真剣に聞こう』という姿勢が出始めてきた」と語る。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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