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【住民帰町1割強】 広野町役場「帰還」あす1年 買い物、医療課題 住宅除染はほぼ完了

広野町内に戻り1年を迎える役場。住民帰還を進めようと対策に追われている=27日午後3時ごろ

 旧緊急時避難準備区域の広野町が町内に役場機能を戻し1日で1年を迎える。住宅除染は1840戸が完了し対象家屋の96%を超えた。だが、生活圏の道路沿線や森林など手付かずの地域が多く、放射線への不安などから町へ戻った町民は26日現在で736人で、東日本大震災前の人口約5500人の約13%。除染による放射線への不安払拭(ふっしょく)、買い物や医療など町での生活に欠かせない施設の事業再開などが課題となっている。

■放射線気になる
 広野町の無職田仲久子さん(69)はいわき市四倉町の四倉町鬼越仮設住宅で夫(70)と暮らす。町の放射線量が気になり、当面は避難生活を続ける考えだ。
 一方、震災と東京電力福島第一原発事故から2年がたち、仮設住宅に新たなコミュニティーが形成されていることに「広野町では時々しか会えなかった知り合いが、ここではすぐに会える」と語る。
 同市常磐関船町の仮設住宅に妻(72)と暮らす無職男性(75)は、町内にある自宅の屋根や畳などを全面的にリフォームしている。水道やガス、電気などの生活基盤は復旧しており、自宅の改修が終わればいつでも戻る条件が整うが「自分たちだけ先に帰っても近所に誰もいなければ不安は尽きない。多くの町民は一緒に帰還する時期を探っている」と話す。

■地道な作業
 住宅除染の対象家屋は1908戸で、20日現在、1852戸から同意を得たが、50戸余りから得られていない。町担当職員が電話や現場に足を運び同意を求めているが「所有者が亡くっていたり書類が返送されなかったり理由は多種多様」としている。
 平成25年度に生活圏の道路沿線から20メートルの範囲や生活圏以外の山林などの除染に着手する計画だが、住民の放射線への不安は消えないのが現状だ。町は除染を担当する清水建設の協力で除染を終えた住宅周辺のモニタリングを2月に実施した。「全体的に一定の除染効果はあった」とみており28日の町議会で報告する予定。
 町は除染と同様に、原発事故前よりも住民生活に必要な施設を充実させることが必要とみている。大熊町の県立大野病院の代替や救急機能などを備えた総合病院、仮設スーパーの誘致などを住民の帰還を促すための課題に挙げ、国や県に支援を訴える。
 住民の就労も課題だ。基幹産業の農業では、コメの作付けを25年度に再開することを決めた。農家360戸(230ヘクタール)のうち94戸(105ヘクタール)が再開の意思を示した。町は農家に種もみを無料で配り後押ししている。

■新入生は微増
 広野中の全校生は震災前は210人規模だったが、現在は34人が通学している。13日には町内で2年ぶりの卒業式を行う。
 在校生は1年生14人、2年生と3年生が各10人で、新年度は15人が入学を予定していることから、全体で増える見込み。阿部央校長は「生徒に寄り添った指導や継続的な心の支援をしたい」と強調する。
 いわき市に避難する主婦(41)は「狭い借り上げ住宅よりも3人の子どもの部屋がある自宅にすぐにでも戻りたい。放射線量が不安だが、多くの人が出入りしている町の治安状態も心配だ」と話す。
 広野小は他の学年とほぼ同数の10人が入学する予定だ。

背景
 広野町は東京電力福島第一原発事故に伴い役場機能をいわき市に置いた。町は町民に対して平成23年3月12日に独自に自主避難勧告、翌13日に避難指示を出した。国は23年9月に緊急時避難準備区域を解除し、町は24年3月1日に役場を町内に戻した。山田基星町長は24年3月31日に町独自の避難指示を解除し「生活が可能な人から帰還してほしい」と呼び掛けた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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