東日本大震災

  • Check

識者の目 原発事故関連死 慰謝料交通事故基準に疑問 弁護士 新開文雄さん

 大熊町の双葉病院から避難した患者が死亡した原発事故関連死訴訟の原告代理人に就く新開文雄弁護士(61)=福島市=に損害賠償を求める方法や今後の動きなどを聞いた。

 −原発事故関連死の定義をどのように考えているか。

 「原発事故に起因して死亡した全ての人が範囲だと広く捉えている。強制的に避難した人はもちろんだが、自主避難者も含まれると考える」
 −損害賠償を求める方法は。

 「東京電力への直接請求と原子力損害賠償紛争解決センターの活用、民事訴訟の三つがある。もちろん、直接請求やセンターの和解仲介で不調になった場合、民事訴訟を起こすこともできる」
 −求める方法で何が変わるのか。

 「直接請求は賠償金を支払うかどうか東電が判断する。紛争解決センターは仲介人の弁護士が和解案を提示し、東電と遺族の両者の協議により判断する。民事訴訟は裁判官が決める。直接請求は中間指針を基にした東電の一方的な判断となり、紛争解決センターは両者が和解案に応じなければ成立しない。民事訴訟は判決が出るまで長期間になる可能性が高く負担が重い」
 −訴訟を起こした場合、争点になるのは何か。

 「慰謝料の額だと考える。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針は交通事故での死亡を基準に算定している。しかし、交通事故は社会生活でリスクがある中で起きるが、原発事故はリスクがないと言われてきた中で起きた。同等の扱いをするのは疑問だ。原発事故との因果関係も争点の一つだが、いかに関連していた証拠が残っているかが重要になる」
 −原発事故関連死をめぐる今後の動きは。

 「損害賠償請求は増えていくだろう。それに先立ち、裁判所で一定の判断を出してもらい、モデルケースをつくりたい。将来的には中間指針を見直し、賠償範囲を明確にすることで、慰謝料として十分な金額にすることが理想だが、現実的には厳しいのではないか。中間指針の運用方法を変え、金額や原発事故との因果関係について柔軟な対応ができるようになればいい」
 −災害弔慰金制度によって遺族には一定の金額が支払われている。

 「原発事故は人災。自然災害による制度に当てはめて、支給しているのに違和感を抱く。制度を見直すか、新たな制度を設ける必要がある」
 しんかい・ふみお 南相馬市小高区出身。原町高、早大第一文学部卒。会社員を経て平成4年4月に第一東京弁護士会に登録。8年4月に県弁護士会に登録替えし、福島市松木町に法律事務所を構える。原発事故関連死では、大熊町の双葉病院から避難中に死亡もしくは行方不明となった患者の遺族・家族の集団提訴の原告代理人に就く予定。

カテゴリー:震災から2年

「震災から2年」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧