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識者の目 【教育・文化】千葉養伍さん 福島大人間発達文化学類教授 「復興を担う力」養って

 高校のサテライト校をはじめ避難している児童や生徒の教育環境は依然として厳しい状況に置かれている。「大震災後の福島県の教育復興を進める会」の事務局を務める千葉養伍福島大人間発達文化学類教授(52)に現状や課題を聞いた。

 −避難している児童や生徒の教育の現状をどのように見るか。

 「課題の一つとして施設や設備の問題がある。学校の一部を間借りしたり、同じ建物内で複数の学校の生徒が学んだりしている状況が依然として残っている。施設や設備が自由に使えず、学校の授業を十分に実施できないという声もあった。また、震災前の場所で再開できた学校でも、子どもたちの多くが避難したままになっている。震災前は何百人もいたが一クラス数人になり、教育手法が大きく変わってしまっている。避難区域以外でも、放射性物質などによる自主避難の影響で同じような状況が生まれている」
 −少人数になってしまった学校では、どのような教育を目指すべきか。

 「子どもがすぐに戻るかというと保護者の判断もあり、現実的には難しい。大切なのは福島の復興に向けた魅力ある教育を行うことだと考えている。昨年末から年明けにかけて県内の小中学校を対象に実施したアンケートでも、教育を魅力あるものにすることが子どもたちの帰還を促すのではないかという意見があった。戻らないのであれば学校は何もできないという考え方ではなく、戻りたくなる学校をつくることが復興への一助になるのではないか」
 −魅力ある教育とはどのようなものか。

 「福島の復興を担うための力を養うことが教育に求められている。積極的に関わって、何が問題で、どのように解決できるのかを考える経験が大切になる。例えば、浪江小は、児童が古里とのつながりがなくなるという危機感から、子どもたちに古里やその未来について考える時間を設けている。避難している町村の復興のためには次の世代の力が欠かせない。浪江小のような取り組みは、避難している子どもが古里を考えるきっかけにもなるし、将来的に古里の未来をつくる原動力になる」
 −震災から2年を迎えるが、本県の教育現場で抱えている問題は多い。

 「先ほど紹介したアンケート結果では、県内の9割近くの学校が放射線教育について難しさを感じている。学年別の指導内容や方法が十分に確立していない、保護者により放射線の意識の差があるなど教員が教えることへの不安は大きい。中身を含めて、どのような教育を提供していくかをしっかりと考えていく必要がある」
 ちば・ようご 宮城県多賀城市出身。平成3年、東北大大学院農学研究科博士課程修了。8年に福島大教育学部助教授、19年から同人間発達文化学類教授。23年7月から「大震災後の福島県の教育復興を進める会」の事務局を務めている。25年4月に人間発達文化学類長に就任予定。専門は食品科学。

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