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施設入所者の避難計画整備 新年度県、まず特養などで着手 体調悪化や長時間移動対応盛り込む

 東京電力福島第一原発事故に伴い長時間の移動をさせられた高齢者施設で多数の死者が出たことを教訓に、県は平成25年度、大規模災害発生時に、施設に入所する「災害弱者」が被災地外の施設に安全に最短ルートで避難できる態勢を整える。まず、重度の要介護者らが生活する特別養護老人ホームと、治療を終えたばかりの高齢者らが入る介護老人保健施設を対象に、受け入れ先や支援態勢などを盛り込んだ避難計画を作る。多くの人を運ぶ移動手段、計画の実効性の確保などが課題となる。
 構想では、避難先の候補施設を事前に複数選び、施設や福祉団体単位か、地域単位で協定を結ぶ。例えば相双地方の施設の場合、比較的近い県北、県南地方の施設などと締結し、施設利用者の情報を共有しておく。
 避難は長時間移動となる可能性が高い。計画には目的地まで最短の経路を設定。途中で立ち寄る福祉避難所、病院など公的施設を明記し、お年寄りの急な体調悪化にも対応できるようにする方針。
 県内には特別養護老人ホームが149施設(6施設は休止)、介護老人保健施設が85施設(3施設は休止)あるが、地震や津波、原発事故など大規模災害による長距離移動を伴う避難は、多くで想定していない。
 県は4月以降、特別養護老人ホームが加盟する県老人福祉施設協議会、介護老人保健施設で組織する県老人保健施設協会、県介護支援専門員協会などと避難計画の検討委員会を組織し、計画の策定を始める。県老人福祉施設協議会は4月に県内7つの地域単位か、施設単位で協定を結ぶ方向で調整している。
 計画の実現には課題もある。大型バスなど大勢の入所者を乗せることができる車両が全ての施設にあるわけではなく、今後、新たに配備する際の支援、限られた車両での効率的な避難方法などを検討する必要がある。
 県によると、宮城県の一部の施設は協定を結んでいたが、震災時に現場で混乱し想定通りに避難できなかったケースがあったという。計画に沿った避難訓練を定期的に実施しておくことも課題だ。各地方によって施設数に差があり、施設の受け入れが可能な人数、職員の人員も異なる。検討委の調整に時間がかかる懸念もある。
 県は当面、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設を対象とするが、高齢者施設は他にも認知症高齢者のグループホーム(県内199施設)、軽費老人ホーム(同34施設)、有料老人ホーム(同115施設)などがある。
 県保健福祉部の担当者は「1度に全ての施設を対象にすれば調整が難航する恐れがある。人命救助の観点から将来的には実現させたい」としている。

■高齢者34施設が原発事故で避難 県内

 東日本大震災と福島第一原発事故では、避難区域などにあった特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームなど34施設が避難を強いられた。県のまとめでは今年1月1日現在、事故当時の入所者1761人のうち、約30%に当たる520人が死亡した。いわゆる「原発事故関連死」とされる人も含まれている。
 県は「寒い時期の体育館での寝泊まり、長時間の移動で体調を崩し、回復しないまま亡くなったケースも考えられる」とし、避難に伴う移動のリスクで犠牲になった可能性を指摘している。

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