東日本大震災

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帰還へ課題山積 葛尾村再編

人通りの絶えた葛尾村中心部。区域再編後も帰還に向けた課題が山積している

22日に帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の2区域に再編した葛尾村は山あいにあり、人口約1500人と双葉郡で最も少ない。水の安全確保や事業所の再開、山林除染など、再編後も帰還への課題が山積する。
 村では簡易水道に加入する施設や村営住宅を除く大半の家庭が山からの沢水や井戸水を使っていた。出水期の濁りなどの放射線の影響を懸念する声は多い。夫と長女(2つ)と共に三春町に避難している同村野川、山崎美穂さん(22)は「子どもが幼いし、水の不安が消えないと戻れない」と話す。17日の住民懇談会では避難指示解除準備、居住制限両区域の各世帯に東電の負担で井戸を設ける方針が示されたが、手続きに不透明さが残る。
 避難指示解除準備区域と居住制限区域は一部業種で営業や再開準備が可能となるが、村内で再開を決めた事業所はない。食堂兼小売店を三春町の仮店舗で営む同村落合、石井一夫さん(57)は「どの程度の人が帰るか見通せないと再開は考えられない」と態度を決めかねる。
 国は避難指示解除準備、居住制限両区域の住宅の除染を5月から始めるが、面積の8割を占める山林の方針は示していない。震災前まで畜産と農業を営んでいた同村上葛尾、松本信夫さん(62)は「山が住宅近くに迫っている実情を見ていない」として自宅の除染に同意していない。
 村は26年度までに損壊道路などを復旧させる一方、今春には三春町で小中学校を再開し、仮設庁舎を新設する。区域再編は除染や賠償の進展にはつながるが、帰還には直結しない。村は今後も避難住民支援と復興、復旧の両面での対応を強いられる。

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