東日本大震災

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いわきの宅地上昇 県内公示地価 避難者の需要増など要因か

国土交通省は21日、1月1日時点の公示地価を発表した。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興需要で、いわき市の住宅地の平均変動率は前年比プラス0.7%となり主要4市で唯一、上昇した。前年と比較可能な市内74の調査地点のうち約半数で地価が上がった。県は双葉郡からの避難者らが宅地を求めていることが背景にあると分析。今後、町外コミュニティー(仮の町)整備や財物賠償の本格化で、さらなる地価上昇や住宅難など市民生活への影響が懸念される。

■「住宅難」懸念
 いわき市の住宅地の平均変動率がプラスとなったのは平成9年以来、16年ぶり。住宅地の標準地(調査地点)74地点の約半数に当たる36地点で地価が上がった。
 同市内の住宅地の地価上昇率の上位5地点は【表】の通りで、県全体の280地点の中でも上位5位を占めた。上昇率が最も高かったのは市内泉もえぎ台の新興住宅団地の一角。JR泉駅から南方の高台にあり、前年比プラス10.7%となった。水準価格が1平方メートル当たり2万円台後半で、周辺の宅地に比べ安価な値段設定となっていることから、県は双葉郡からの避難者や市内の被災者の需要が高まったとみている。
 いわき市で住宅地の上昇率が10%を超えるのは、地価が高騰したバブル期の平成3年以来となった。当時、上昇率が最も高かった住宅地はプラス16.2%だった。

■県内上昇14年ぶり
 いわき市の36地点を含め、福島市の2地点など県内の住宅地と宅地見込み地の計39地点で地価が上昇した。県内の住宅地の地価上昇は平成11年以来14年ぶり。前年にマイナス6・2%と過去最大の下落率となった県内全体の住宅地の平均変動率は、同1.6%まで持ち直した。
 国交省の土地鑑定委員会で本県代表幹事を務める不動産鑑定士の鈴木禎夫氏は「双葉郡の避難者、津波、震災の被災者の新築需要が高まっている」と地価上昇の要因を分析。町外コミュニティー(仮の町)整備や土地や家屋の財物賠償が進めば、さらに土地取引が活発化し、県内の都市部を中心に上昇傾向が続く可能性があるとの見方を示した。一方、「土地の区画整理や集団移転が進み、供給量が増えれば、地価上昇は落ち着くのではないか」とも指摘した。
 県土地・水調整課は「地価上昇は復興が具体化し始めた証し」とした上で、「土地を高値で売却するために投機目的で購入され、不要に地価が上がっては困る」と問題点を挙げた。
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 今回、県内で調査したのは住宅地、宅地見込み地、商業地、工業地合わせて39市町村の429地点。県内の調査地点は本来、44市町村の446地点だが、避難区域内の南相馬市3地点、楢葉町2地点、富岡町3地点、大熊町3地点、双葉町3地点、浪江町3地点の計17地点は昨年と同様に調査を休止した。

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