東日本大震災

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首相に風評払拭訴え 郡山の農家 首相「全力尽くす」

鈴木農園のハウス栽培のカブを収穫する安倍首相(右)と根本復興相(右から2人目)ら=郡山市

24日、安倍晋三首相の訪問を受けた郡山市の農家は、東京電力福島第一原発事故による風評の払拭(ふっしょく)に国の責任で全力で取り組むよう訴えた。安倍首相は風評被害対策を幅広く検討しているとして、「政策を実行することで、福島の農場が立ち上がれるようにしたい」と強調した。
 鈴木農園社長の鈴木清さん(57)は、自ら栽培しているカブとナメコの市場の取引値などを安倍首相と根本匠復興相(衆院本県2区)に説明した。「『(消費者から)汚れた土地で作るな』と言われ、自分たちで除染して土を入れ替えた。これくらいしないと消費者は分かってくれない」と風評被害の厳しさを伝えた。安倍首相は「従業員を解雇せず、よく頑張っていただいた。風評の払拭に全力を尽くす」と約束した。
 同農園は原発事故直後、売り上げが半分以下に減った。現在も落ち込みに歯止めがかからないという。視察後、鈴木さんは「(首相は)頑張りますと言ってくれた。信じるしかない」と望みを託した。
 市のブランド肉牛「うねめ牛」を生産する武田ファーム社長の武田晃一さん(45)は牛舎を案内し、安倍首相に福島の復興、風評被害対策、後継者の育成の3点に取り組むよう要望した。生産農家でつくる「采女牛を育てる会」会長を務めている。うねめ牛の価格は風評被害で大きく下落し、今でも原発事故前の8割の水準にとどまる。安倍首相を見送った武田さんは「2年間、心が折れそうになりながらも耐えた。首相は要望を強くうなずいて聞いていた。風評を根本的に払拭するには政治の力しかない」と語った。

■「カブが上がりますように」 首相が収穫体験

 安倍首相は鈴木農園で、ハウス栽培のカブの収穫を体験した。土から引き抜いたカブを手に「カブ(株価)が上がりますように」と声を上げ、周囲を沸かせた。
 農園内で安倍首相は、ナメコの天ぷらやみそ汁を食べたほか、ナメコ栽培工場を視察した。武田ファームでは、うねめ牛のサーロインステーキを試食し、「おいしい」と何度も繰り返した。同ファームに掲げられていた生産者への激励メッセージの寄せ書きに「美味しいお肉 ありがとう」と記した。

■「時が止まったよう」首相、浪江の商店街で指摘

 安倍首相は、人けがないJR浪江駅前商店街の様子や、歩道のひび割れなど震災の爪痕が残る浪江町役場周辺を見て「時が止まったような状況だ」と指摘。案内役の馬場有町長から速やかなインフラ復旧を要請され「復興を加速化させていきたい」と強調した。
 視察は、4月1日に避難指示区域が再編されて日中は立ち入り可能な区域ができるのを前に地域の現状を把握する狙い。将来の住民帰還をにらみ、整備が必要なインフラなどを見極める考えだ。

■子育て環境改善を 郡山の屋内遊び場 保護者切実な声

 郡山市の子どもの屋内遊び場「ペップキッズこおりやま」を訪れた安倍首相に、来場していた保護者から子育て環境の改善や地域の除染の徹底を求める声が上がった。
 休日の施設内は子どもや保護者ら約400人で混み合っていた。三春町から孫二人を連れて来た会社員服部新喜さん(62)は「施設は、こんなに混雑している。子どもの外遊びをためらう保護者の気持ちを理解してもらえたはず」と期待した。
 長女(6つ)を遊ばせていた市内の主婦橋本寿子さん(48)は屋内施設の他、県外まで出掛けて外遊びをさせることもある。長女は4月に小学校に入学するため、「校内や通学路の放射線対策徹底をお願いしたい」と訴えた。子ども二人と来場した郡山市の主婦(31)は「除染が遅れていると感じる。公園などでの作業を優先してほしい」と求めた。
 安倍首相は施設視察に先立ち、「子どもたちのためにも頑張っていきたい。被災地の子育ての懇談会を開いて地域の声を聞く取り組みが今後始まる」と記者団に述べた。
 郡山市内の首相視察には佐藤雄平知事が同行した。安倍首相の来県は昨年12月の就任以来2回目。

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